スマホゲーム市場のトレンド:ハーフアニバーサリー施策に迫る
近年、スマホゲーム市場では、リリースから半年を記念した「ハーフアニバーサリー施策」が定番化しつつあります。株式会社スパイスマートが実施した調査によると、日本発のスマホゲームにおいて、実に68%ものタイトルがハーフアニバーサリー施策を実施していることが明らかになりました。
調査概要と結果
スパイスマートは、2023年5月から2024年4月までにApp Storeセールスランキング200位以内にランクインしたヒットタイトルを対象に調査を実施。その結果、調査対象となった100タイトルのうち、約半数の48タイトルでハーフアニバーサリー施策が確認されました。これは、前年とほぼ同水準であり、この施策が定着しつつあることを示しています。
さらに、日本発と海外発のタイトルを比較すると、日本発タイトルの方がハーフアニバーサリー施策の実施率が significantly 高いことが判明。日本市場では、この施策が重要なマーケティング戦略として認識されていると言えるでしょう。
ハーフアニバーサリー施策が注目される理由
近年、10年以上続く長寿タイトルが存在する一方で、新規タイトルのヒットが減少傾向にあります。また、初動は好調でも、その後数ヶ月でランキングが急落するタイトルも増加。そのため、1周年を待たずにハーフアニバーサリーで施策を展開することで、ユーザーの関心を維持し、ランキングを押し上げる狙いがあると考えられます。
成功事例:ランキングを押し上げた2タイトル
調査では、ハーフアニバーサリー施策によってApp Storeセールスランキングが大きく上昇したタイトルの中から、『呪術廻戦 ファントムパレード』と『キノコ伝説:勇者と魔法のランプ』の2タイトルをピックアップしました。
『呪術廻戦 ファントムパレード』
『呪術廻戦 ファントムパレード』は、YouTubeでのイベントストーリー一挙配信やリアルイベントなどのユーザー還元施策に加え、新宿での大型屋外広告など、多角的なプロモーションを展開。ゲーム内では、TVアニメで人気の「懐玉・玉折」編を再現したストーリーイベントや、人気キャラクターの段階的な実装など、ユーザーの期待に応える施策を実施しました。その結果、ハーフアニバーサリー期間中にセールスランキング1位を獲得(施策前日は81位)という大きな成功を収めました。同時期に話題になった原作漫画の展開も、成功に貢献した可能性があります。
『キノコ伝説:勇者と魔法のランプ』
『キノコ伝説』では、公式XでのAmazonギフト券キャンペーンやオフラインイベント、お得パックの再販売など、既存ユーザーへの還元を重視した施策が中心でした。セールスランキング最高2位(施策前日は6位)という結果に終わりましたが、ハーフアニバーサリー直後の『デジモンテイマーズ』とのコラボイベントの影響も無視できないでしょう。
施策の傾向
調査対象となった6タイトルを分析した結果、屋外広告やCM放映など、新規ユーザー獲得を目的としたプロモーションは比較的少ないことがわかりました。多くのタイトルでは、既存ユーザーへの感謝を伝える施策が中心となっています。
まとめ
本調査は、ハーフアニバーサリー施策が日本発スマホゲームにおいて定番化しつつあり、既存ユーザーへの還元を重視した施策が効果的であることを示唆しています。今後のスマホゲーム市場において、この施策はますます重要性を増していくと考えられます。
スパイスマートとLIVEOPSISについて
本調査は、株式会社スパイスマートが提供するスマホゲーム特化の分析データ、運営ソリューション「LIVEOPSIS」を用いて実施されました。LIVEOPSISは、ゲームアプリの売上・ダウンロード推移、イベント・施策データ、SNS情報などを閲覧できるサービスです。ゲームアプリ開発・運営に関わる企業にとって、貴重な情報源となるでしょう。