地域の伝統料理を未来へ継承する「銘店の味アーカイブ」プロジェクト
フード系スタートアップであるFoodStock株式会社が新たに始動した「銘店の味アーカイブ」プロジェクトは、地域ごとの名店の味を未来へ残し、その魅力を全国や海外に広めることを目的としています。このプロジェクトは、地域食文化の継承や新たな販路の開拓を支援し、地方の飲食店が抱える課題解決に取り組んでいます。
背景と現在の飲食業界の課題
近年、飲食業界はさまざまな困難に直面しています。人口減少や労働力の不足、原材料の高騰、消費行動の変化などにより、多くの飲食店が経営の危機に瀕しています。特に地方にある老舗の飲食店は、後継者不足によって長年愛されてきた味が失われる危険性があります。2024年には、全国で1,000件以上の飲食店が閉店すると予測され、地方の名店が存続の危機に立たされる状況です。
このような厳しい状況の中、FoodStock株式会社は伝統の味を未来へ引き継ぎ、広めることを目指して「銘店の味アーカイブ」を設立しました。
「銘店の味アーカイブ」とは
このプロジェクトは、自分たちが大切にしてきた思い出の場所や味を次世代に残したいという強い意志から生まれました。名店の味を商品化し、地域に限らず日本全国、さらには世界中へと広める手法を取ります。こうした取り組みにより、飲食店の活性化を促し、地域全体の経済活性化につなげることを目指しています。
プロジェクトの具体的な進行としては、名店の職人の技を忠実に再現し、レトルトや冷凍食品などのパッケージで商品化します。また、地方の飲食店や小売業者との提携を通じて販路を広げていくことも計画されています。
2025年に向けた新製品発表会の予定
2025年2月25日、銘店の味アーカイブの第1弾として、佐賀県のご当地ブランド「佐賀ラーメン」のレトルト商品がリリースされる予定です。FoodStockのメンバーは佐賀出身者で構成されており、彼らの青春時代に親しんでいた「思い出の味」を未来へ残したいという願いがこのプロジェクトの原動力となっています。
飯店との協力のもと、全国でも有名な佐賀ラーメン店と六か月以上にわたるスープの改良作業を経て、ようやく完成したこのレトルトパウチは、そのまま温めるだけで当時の懐かしい味を楽しめる逸品です。常温保存が可能なため、配送コストを抑えつつ全国や海外に展開できるという利点もあります。
佐賀ラーメンの魅力とその歴史
佐賀ラーメンは、戦後に久留米ラーメンの影響を受けた豚骨ラーメンの一種で、濃厚なスープを基にしつつも、よりマイルドで甘みのある味わいが特徴です。1955年頃に佐賀に登場したラーメン店によって、地域に愛されるスタイルが確立され、現在でも多くの老舗がその伝統を守り続けています。最近ではラーメンイベントにも出展され、全国的な注目を集めるようになっています。
「銘店の味アーカイブ」の今後の展望
このプロジェクトでは、今後も全国の名店とのコラボを通じて、さまざまな地域の名産品を商品化していく計画です。また、各店舗の技術やレシピを忠実に再現するための共同開発を進め、冷凍やレトルト食品として商品化します。今後、多種多様な飲食店と協力しながら、広範な流通ネットワークを活用し、伝統の味をより多くの人々に届ける取り組みを進めていく予定です。
FoodStock株式会社について
FoodStockは、2022年12月に株式会社ボイスの事業としてスタートした企業で、食の製造者と販売者を結びつけるプラットフォームを構築しています。全国の食品メーカーや飲食店と連携し、多様なこだわりの食材や商品の流通をサポートし、食産業全体の活性化を目指しています。その取り組みが評価され、2024年には経済産業省の「J-Startup Kyushu」に選定されました。現在、全国で500以上の食品を取り扱い、新たな食の流通モデルの確立に向けた活動も進めています。