バリアフルレストラン
2020-03-23 14:01:17
「バリアフルレストラン」が問いかける当たり前の社会とその偏り
「バリアフルレストラン」が問いかける「当たり前」とは
近年、SNSで多くの話題となった「バリアフルレストラン」は、車いすユーザーが多数派となる仮想世界を体験できるユニークなイベントです。このプログラムは、参加者に対して「当たり前とは何か?」という問いを強く投げかけることを目的としています。主催者である日本ケアフィット共育機構は、この体験を通じて、社会がどのように成り立っているのか、そしてその背景にある「障害の社会モデル」への理解を深めさせることを狙っています。
プログラムの趣旨と実施概要
「バリアフルレストラン」は、東京大学の星加良司准教授や、車いすYouTuber寺田ユースケ氏の協力を受けて開発されました。この仮想世界のレストランでは、普段当たり前に感じている多くのことが、実は多様な視点から見たときには異なる意味を持つことに気づかされます。
先日行われたトライアル版では、約100団体から約150名が参加し、メディアでも取り上げられるなど大きな反響を呼びました。秋には一般公開も予定されており、プログラムはさらなる改善を進めています。
仮想世界での体験
プログラムは、「車いすユーザーにとっての暮らしやすさはどうあるべきか?」という問いから始まります。参加者は、レストランの中に入ると、天井の高さが170cmの特設施設で体験を行います。ここでは、オーナーの寺田ユースケ氏をはじめとするすべてのスタッフが車いすユーザーで、参加者を迎えます。
当然ながら、店内は通常のレストランとは異なり、座席はほぼ存在せず、すべてが車いすに適した設計になっています。棚には、障害を持つ人々への配慮として、二足歩行者用のヘルメットまで用意されています。この体験の中で、参加者に「当たり前」が誰のためのものであるかを考えさせる構造になっています。
ディスカッションでの学び
体験を終えると、寺田氏と参加者との間でディスカッションが行われます。彼は、「このレストランの名は『バリアフルレストラン』。少数派の体験からどのような気づきが得られたかを共有する場にしたい」と述べています。参加者たちは、自らの経験を振り返りながら、当たり前にしがみつく社会構造についての議論を交わしました。
多数派の視点を再考
展示エリアでは、日常生活での例として、電話による受付が健常者向けに設定されていることや、映画館の座席が多くの人に適した設計であることが紹介されます。これには、右利きの人々が多数を占めているために、左利きの人には不便なアイテムが多いことも例に挙がりました。
参加者の反響
参加者アンケートでは、レストラン体験の中で特に気づきが多かったものとして、接客の仕方や天井の高さといった要素が挙げられました。多くの人々が無意識のうちに「当たり前」を押し付けていることに気づき、障害者への理解が深まったと感じている声が多数寄せられました。
今後の展望
「バリアフルレストラン」は秋には一般公開を迎える予定です。この体験を通じて、多くの人が「障害とは社会が作り出すもの」であるということに気づき、当たり前を再考する場になることを期待しています。
このプログラムを通じて、私たちの社会は、本当の意味での共生社会へと進化していけるのかもしれません。
会社情報
- 会社名
-
公益財団法人 日本ケアフィット共育機構
- 住所
- 東京都千代田区神田三崎町2-2-6
- 電話番号
-
03-6261-2333