台湾人作家・楊双子の魅力を再発見
全米図書賞を受賞した台湾人作家、楊双子(よう ふたご)の最新作『四維街一号に暮らす五人』が、ついに発売されました。本書は、昨年発表された『台湾漫遊鉄道のふたり』での成功を受けて、さらなる注目を集めています。翻訳は三浦裕子氏が手掛けており、再び素晴らしい言葉の世界へと誘います。
物語の舞台とあらすじ
本作の舞台は、古い日式建築が残る女性専用のシェアハウス「四維街一号」です。この場所に住むのは、様々な背景を持った五人の女性たち。乃云(シャイ)、家家(苦学生)、小鳳(聡明)、知衣(BL作家)たちが、酒好きな大家のもとで賑やかな共同生活を送ります。
物語は、彼女たちの日常の中で、百年前の台湾料理レシピが現れることによって思わぬ展開を迎えます。そこにはある家族の苦い歴史や、五人の心の孤独が描かれ、読者を引き込みます。「おかわり、お願い!この物語は心のごちそうだ」という推薦文が示すように、台湾のグルメとレトロ建築が融合した魅力的なストーリーが展開されます。
受賞歴と評価
楊双子は、2019年に『台湾漫遊鉄道のふたり』で全米図書賞を受賞。また、この作品は日本翻訳大賞も受賞した実績があります。本書も同じく三浦裕子による翻訳で発表されたため、内容への期待が寄せられます。両作品が結びつくことで、楊双子の作品世界はますます広がりを見せています。
イベント情報
著者の来日も決定しています。8月23日(土)には、台湾文化センターにて楊双子さんと作家の角田光代さんとのトークイベントが開催されます。翌日の24日には、楊双子さんと『台湾漫遊鉄道のふたり』の英語訳者リン・キンさん、さらに三浦裕子さんの参加による特別なイベントが予定されています。詳細は近日中に発表されるとのことですので、ファンの方はぜひお見逃しなく!
著者・楊双子について
楊双子は1984年生まれ、台中市烏日出身の人気作家です。彼女の本名は楊若慈で、双子の姉妹として活動しています。これまでの著作には、台湾のサブカルチャーや大衆文学をテーマにした作品が多く、現在は台湾の歴史を基にした小説の執筆に注力しています。双子姉妹の共同ペンネーム「楊双子」は、多様な視点と豊かな物語性を引き出すユニークな存在です。
翻訳者・三浦裕子について
三浦裕子は、仙台出身で早稲田大学を卒業した実力派の翻訳者です。台湾や香港の魅力を日本に広める活動を行い、これまでに数多くの作品を手掛けています。文学的な感性と、文化的な背景を考慮した翻訳に定評があり、その完成度は高く評価されています。『台湾漫遊鉄道のふたり』の翻訳で受賞した日本翻訳大賞は、その実力の証拠です。
まとめ
『四維街一号に暮らす五人』は、台湾の文化、歴史、そして人々の感情が交差する作品です。楊双子の最新作は、彼女の独特な視点から紡がれた物語で、読者に心温まる体験を提供してくれるでしょう。台湾食文化に興味がある方、心の物語を求める方には必読の一冊です。この機会にぜひお手に取ってみてください。
本書が皆様の心に深く響くことを願っています。