2024年の遺贈寄付に関する実態調査結果
一般社団法人日本承継寄付協会は、2024年における遺贈寄付に関する実態調査を実施しました。この調査は、遺贈寄付の知名度や実行意向、老老相続の認知度に焦点を当てています。
調査の背景
日本では毎年約50兆円の資産が相続されています。このうち、高齢者同士の相続、すなわち「老老相続」の問題が深刻化しており、メディアでも取り上げられることが増えています。近年、自身の相続先が不透明である独身世帯の増加や、子供がいない家庭が増加しています。
そこで、「遺贈寄付」は、将来世代や社会貢献のために資金を流入させる取り組みとして重要視されています。日本承継寄付協会は、遺贈寄付の普及を目的に、調査や啓発活動を続けてきました。
主な調査結果
認知度のアップ
調査によると、遺贈寄付の認知度は徐々に上昇しているものの、その実行意向はあまり高くありません。特に70代では83.9%が遺贈寄付を知っている一方で、79.8%は家族と話したことがないと回答しています。これは、認知度の上昇にもかかわらず、具体的な行動に移す意向が低いことを示しています。
老老相続の深刻化
老老相続については、74.2%の人がその存在を知らないと答えました。2025年には多くの団塊の世代が後期高齢者に達し、金融資産の活用が停滞する恐れがあります。このような状況に対処するために、早急に広範な認知活動が求められます。
遺言書作成への意識
遺言書の作成に関しても、多くの人々が「まだ早い」と感じていることが分かりました。遺贈寄付を実行するためには、まず遺言書を作成することが重要ですが、その認識が低いままでは実態が改善することはありません。
今後の展望
日本承継寄付協会の代表理事である三浦美樹氏は、調査結果を受けて「遺贈寄付の認知度は引き続き上昇しているが、実行意向が依然として低い」と指摘。具体的な寄付のメリットや事例の周知が急務であると強調しました。また、寄付先団体の情報開示や透明性の向上も重要としています。
加えて、老老相続問題に対する認識を広めるためには、メディアや地域社会と連携した啓発活動が必要です。遺言書作成に対する意識向上と情報提供の強化も不可欠です。
結論
今回の調査結果からは、認知度向上にもかかわらず遺贈寄付の実行意向が低いことが課題であることが明らかになりました。今後、遺贈寄付が「誰でもできる寄付」として広がり、多くの人々が安心して参加できる社会を目指す必要があります。