静岡県の伝統を継ぐ傘の名門、藤田屋の挑戦
静岡県静岡市に本社を構える株式会社藤田屋は、1919年に設立された老舗の傘とレイングッズを扱う企業です。今年で105年を迎える藤田屋は、雨の日にも快適に過ごせる暮らしを広めることを目指しており、地域の皆さんに親しまれています。
藤田屋の事業計画部長である藤田大悟氏は、2025年2月4日に開催された「第5回アトツギ甲子園」の地方予選大会に出場しました。この大会は、中小企業の後継者たちが新規事業のアイデアを競うピッチイベントで、各地から189名がエントリーし、その中から選ばれた90名が出場しました。その中で静岡県からは過去最多の5名が出場しており、藤田氏は家業を継ぐ4代目として特に注目を集めています。
「使い捨て文化」に対抗する新たな提案
藤田氏のプレゼンテーションでは、「新たなアンブレラスカイ」というテーマのもと、傘の新しい価値について語られました。日本では毎年8,000万本もの傘が廃棄されており、藤田屋はこの使い捨て文化を変える必要性を感じています。
新たに提案するビジョンは、「傘を自分自身を表現する大切なアイテムにする」というもので、美術館のような空間で傘を魅力的に演出するプロジェクト「Harebare」を立ち上げ、多くの人々に傘の魅力を伝えたいと考えています。
プレゼンテーションの反響
藤田氏のプレゼンテーションは、審査員からも注目され、「その傘を買いたくなった!」という賞賛を受けました。結果としては受賞を逃しましたが、傘の価値を再定義する挑戦が多くの共感を呼びました。
審査員は、アートとしての傘の価値についても言及し、ブランド力の強化や地域との結びつきを大切にしてほしいとのコメントを寄せました。
地域に根ざし、未来を見据えた取り組み
藤田大悟氏は、大学で経営学を学んだ後、大手自動車系サプライヤーでの経験を経て、2024年に家業に入社しました。新規事業の構想から実行計画の策定までを担当してきた彼は、この経験を生かして藤田屋の新たな挑戦を進めています。
藤田屋は、直営店で傘とレイングッズのセレクトショップを展開し、地域のニーズに応じた販売を行っています。
今後も、藤田屋は伝統を受け継ぎつつ、革新を追求しながら傘文化を未来へつなげていくことでしょう。
藤田社長は、傘の新たな価値を再定義し、アートとファッションを融合させる取り組みを進めています。日本国内外からの訪問者が増える可能性も高く、傘の新しい魅力を発信する場となることが期待されています。
今後の藤田屋の動きに、ぜひ注目していきたいところです。