鹿児島県出身の新進気鋭の映画監督、伊地知拓郎氏が、2024年11月11日から中国・重慶市で開催される「35mm批評家週間」において、自身の長編処女作『郷(ごう)』が選出されたという快挙を成し遂げました。この映画祭は、中国映画評論学会が主催し、国内外の若手監督や新しい映画作品を紹介・評価するための重要なイベントです。
『郷』は、今年の6月に上海で開催された上海国際映画祭のアジア新人部門にノミネートされた作品で、そこで注目を集めたことが影響し、再び中国の地に登場することになったのです。この映画は、自然豊かな鹿児島を舞台に、少年の成長と挫折を描いた感動的な物語で、多くの人々の心に響く内容となっています。
映画の内容については、主人公の少年・岳(がく)が憧れの野球部に入るも、思うようにいかない現実に直面し、挫折を味わう姿が描かれています。彼は人生の意味を失ってしまうが、偶然の再会によって再び希望を見出し、自身の存在の尊さに気づいていく過程を描いています。このように、仲間との絆や成長をテーマにした本作は、観る人に深い感動を与えること間違いなしです。
伊地知監督は、大学入学時に書いた脚本が、ARRIインディペンデントプロジェクトに選ばれ、無償で提供されたARRI機材を使用して本作の制作がスタートしました。1年間の撮影と3年間の編集を経て、令和6年4月に完成を見ました。さらに、文部科学省によって教育的価値が認められ、中学校や高校での道徳教育や人権啓発の授業でも取り扱われることが決定しています。
中国映画評論学会(China Film Critics Association)は、中国国内で映画批評の発展を目的とし、多角的な評価を行うための団体で、長年にわたって各種映画賞の審査に携わっています。今回、日本人の作品が評価されることは非常に珍しいことであり、日中映画文化の交流が深化していることを示しています。
伊地知監督の今後の活躍にも期待が寄せられており、映画『郷』がどのように受け入れられるのか、その行方から目が離せません。一般公開はまだ行われていませんが、映画祭での反応や評価を通じて、さらなる飛躍を遂げることが期待されています。これからの展開に大いに注目です。彼の作品が、アジアの映画産業においても重要な位置を占める一歩となることを願っています。