特別展「みやこの舞楽」開催概要
近鉄グループの文化事業として、大和文華館では2025年10月4日から11月9日まで特別展「みやこの舞楽―舞楽面と舞楽図でたどる芸能の美―」を実施します。日本の舞楽は古代から続く伝統芸能であり、その背後には深い歴史と豊かな文化があります。
舞楽の歴史
日本の舞楽は奈良時代以降、宮中の重要な行事や寺社での祭祀において重要な役割を果たしました。その歴史は、平安時代に原型が整い、その後中世からさらに発展を遂げていきます。本展は、特に舞楽の中心的な存在であった「三方楽所」の役割にスポットを当てています。
「三方楽所」とは、大内(宮中)、南都(興福寺)、天王寺(四天王寺)の雅楽演奏組織のことで、彼らは舞楽の継承において大きな影響を及ぼしました。宮中の行事だけでなく、地方の社寺への楽人の派遣も行い、舞楽の広がりを支えたのです。
展示される貴重な品々
本展覧会では、舞楽の歴史を理解するために、舞楽面や舞楽図に焦点を当てます。特に重要な文化財として、伊勢市指定の有形文化財である舞楽面や、重要文化財に指定されたさまざまな芸術品が展示されます。例えば、陵王や散手定慶が制作した舞楽面、世代を超えて受け継がれてきた文化財の数々が一堂に会します。
主な展示品には、奈良・春日大社蔵の重要文化財「舞楽面 散手定慶作」(寿永3年/1184年)、滋賀・桑実寺蔵の重要文化財「桑実寺縁起絵巻」(天文元年/1532年)などがあります。これらの作品は、日本の舞楽が持つ美しさや奥深さを伝える重要な素材となります。
結論として
特別展「みやこの舞楽」は、その独自の視点から、日本の古代芸能の持つ美しさを広く一般に伝える貴重な機会です。歴史的な観点から舞楽の発展をたどるだけでなく、その芸術的な側面に触れることで、観覧者は日本文化の重層的な背景を感じることができるでしょう。京都・奈良・大阪を中心に根付いた豊かな芸能文化を探求するため、ぜひ足を運んでみてください。