男女間の待遇満足度が高い企業ランキングと分析

近年、男女間の賃金格差は日本社会で大きな問題となっています。政府も2026年度を目指して新しい組織を設立し、賃金格差の実態把握を進める方針です。しかし、賃金ギャップの問題は未だ根深く、世界の水準に対しても日本は多くの格差を抱えています。

2023年からは、上場企業を対象に男女賃金差を含む人的資本指標の開示が義務化され、企業の経営戦略でも男女が活躍できる環境の整備が不可欠となります。それでも、実際に働く人々がどのように評価しているかは可視化されにくいのが現状です。このような状況を受け、OpenWorkの「働きがい研究所」が実施した調査では、社員が回答した待遇面の満足度における男女差を分析し、ギャップが少ない企業のランキングを発表しました。

若手層の分析

まず、待遇満足度が男女ともに高い企業について、25〜30歳の若手層を対象に分析を行いました。この世代は職業生活初心者が多く、給与の差が生まれにくい環境が整っています。トップは伊藤忠テクノソリューションズ、次いでKPMGコンサルティング、三位にはアクセンチュアがランクインしました。

若手層の社員からは、男女問わず活発な環境での勤務ができると好評です。彼らは、のびのびと働ける社風や、同期と同様の給与スタートが得られる点に魅力を感じています。「女性だからと言って特殊扱いはなく、男女どちらかに偏ることが少ない」といったクチコミも多く、フラットな職場風土が評価されています。

中堅層の分析

次に、31〜49歳の中堅層における待遇満足度も分析しました。この年齢層では、評価制度や勤続年数に依存しないため、男女間でのギャップは少ない傾向が見られました。特に、Indeed Japanやメルカリのように中途採用文化が浸透した企業では、前職の給与を基準にし、年功序列の影響を受けにくい評価制度が整っています。

また、中堅層の社員たちの声からは、実力主義の評価が根付いており、キャリアアップや管理職登用が男女平等に行われている様子が伺えます。こうした環境では、年齢に関係なく平等に評価されるため、待遇面でのギャップが生じにくいのです。

男女のギャップが大きい企業

逆に、若手層と中堅層での男女間の待遇満足度のギャップが大きい企業も存在します。30社の中には、製薬会社や飲料メーカーが多く順位を占めていました。この場合、長時間の残業が高給与に繋がる体制や、昇進内訳における縛りが影響しています。また、こうした企業では、無意識の思い込みやバイアスが評価に影響している事例も散見されました。

社員の声からは「忙しい環境下での評価は厳しい」といった反響や、「女性はいくらか優遇されているのでは」との意見も見られ、性別によるアンコンシャスバイアスが存在することが浮かび上がります。そして、このような企業文化が男女間のギャップを生んでいると言えるでしょう。

まとめ

今回の分析結果から分かることは、男女間の待遇満足度の差は企業文化や制度だけでなく、人々の意識にも関連しているということです。職場がどのような文化を持っているかが、男女平等に至る道を拓くことに寄与します。企業としては、透明性のある評価制度を整え、男女が共に働きやすい文化を醸成することが求められます。このような取り組みが進むことで、真の意味でのフラットな職場が実現できるでしょう。