STマイクロエレクトロニクス(NYSE: STM)は、最新のインテリジェント・パワー・スイッチ「IPS1050LQ」を発表しました。この新しいスイッチは、特に過電流保護に特化しており、柔軟性の高い電流制御を実現しています。IPS1050LQは、プログラマブルな固定電流制限値を設定できるスタティックモードと、突入電流を安全に管理するダイナミックモードを搭載したことが特徴です。
この製品は、最大65Vの出力能力を備えており、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)、ファクトリ・オートメーション(FA)、そしてコンピュータ数値制御(CNC)装置といった、多彩な用途での使用が期待されています。
IPS1050LQは、3本のピンを介してスタティックモードとダイナミックモードの切り替え、さらには動作電流制限値の設定を行えます。具体的には、制限値は8段階に設定可能で、スタティックモードでは外部抵抗やマイクロコントローラ、ASICのGPIOポートを使ってアクティベーションレベルとしきい値を設定できます。また、コンデンサを接続することでダイナミックモードがアクティブとなり、突入電流制限値が最大25Aから自動的に段階的に減少していく仕組みです。これにより、安全で効率的な電流管理が実現できます。
さらに、IPS1050LQはSTのM0T5 VIPower技術を基盤にしており、標準オン抵抗がわずか25mΩと非常に低く、電力効率の高いスイッチングを可能にします。IEC 60947-5-1に基づく負荷に対しても十分に対応しており、誘導性負荷に対してはアクティブ・クランプ機能が搭載されているため、迅速な消磁処理が可能となっています。この他にも、低電圧、過電圧、過負荷、短絡など多くの安全機能を備え、過熱状態表示のためのサーマル保護ピンも装備されています。
また、IPS1050LQの評価は「X-NUCLEO-DOL10A1」というSTM32 Nucleo開発ボード用の拡張カードで行えるため、実際の診断及び駆動機能のテストもスムーズに行えます。さらに複数のカードを組み合わせてマルチチャネルのモジュールを評価することもできます。
IPS1050LQは現在量産中で、評価用のQFN32Lパッケージ(6 x 6mm)として提供されています。1,000個以上の購入で単価は約2.19ドルというリーズナブルな価格で手に入るため、小規模から大規模なプロジェクトまで対応可能です。
STマイクロエレクトロニクスは、約50,000人を超える従業員を持ち、世界中の顧客に向けて包括的な半導体ソリューションを提供する企業です。持続可能な社会の実現を目指し、カーボンニュートラル達成に向けた取り組みも行っています。これにより、STのテクノロジーは今後もスマートモビリティやエネルギー管理の効率化に寄与していくことでしょう。
詳細は公式ウェブサイト(http://www.st.com)をご覧ください。