シニアの新たな職場、会計業界の変化
近年、シニア層が会計業界において新たな職場として注目されています。2024年8月、シニア向け就職支援を行う『シニアジョブ』が発表した調査結果によると、税理士補助業務に従事するシニアの雇用形態が大きく変化しています。特に正社員採用の減少と派遣社員の増加が顕著です。この変化の背景には、会計業界の人材ニーズの多様化や、シニア自身の働き方の選択肢が広がったことなどが影響しています。
調査の背景と目的
『シニアジョブ』は創業10周年を迎え、これを機に会計業界におけるシニアの就業状況に関する調査を実施しました。具体的には、税理士補助業務と税理士業務の2つの職種で、就業決定に至ったシニアの傾向を分析しました。調査は2024年8月から同年12月までの間に行われ、『シニアジョブエージェント』を利用した45名のデータが対象です。
結果の詳細
リリースされた結果によると、会計業界で採用されたシニアにおいて、未経験者の割合が増加しています。これまで対面のような会計事務所経験が求められてきましたが、今回の調査では未経験者が12.5%に達しました。意外にも、会計事務所経験者が87.5%を占めている一方で、税理士資格を保持しつつ税理士補助業務を希望したシニアも多いことが分かりました。
雇用形態に目を向けると、正社員が52.5%、派遣社員が37.5%という割合で、以前の調査から派遣社員が増加している傾向が見えます。特に、就業決定までに要した日数が平均31日という短期間であることは、派遣社員が迅速に需要に応じられることを示唆しています。
また、税理士補助業務に携わるシニアの平均年齢は53.7歳であり、高齢者でも就業可能な環境が整っていることを反映しています。
なぜ派遣社員が増えたのか?
シニア層が派遣社員として働く傾向が強まっている要因には、求職者側と企業側のニーズの変化があります。直接雇用よりも就業までの流れがスムーズで、短期間で確実に仕事を得たい求職者や、企業が求める人材とのマッチングが効率的に行えることが背景にあると考えられます。特に、税理士業務だけでなく会計ソフトの導入支援やデジタルトランスフォーメーション(DX)へのニーズが高まったことで多様な人材が求められるようになりました。
シニア向けの支援制度の重要性
シニアジョブは、シニアの雇用機会を拡大するために様々な支援制度を設けています。その一環として、全国各地の会計事務所や社労士事務所と連携を深め、シニアの専門性を活かした仕事紹介を行っています。特に、50歳以上のシニア層に特化した人材派遣サービスは、多くの求職者から支持を受けています。
まとめ
シニアの就業環境が大きく変わりつつある中で、税理士補助業務における派遣社員の増加は重要な動向です。求職者としてのシニアが自身のライフスタイルや働き方に合わせて選択肢を広げている様子は、今後の会計業界だけでなく多くの業界に波及する可能性があります。この流れが続くことで、シニアの就職支援における新たな形が見えてくることでしょう。