世界の認知症問題への新たな視点
2025年6月24日、オンラインにて「旅人たちと巡る、世界の“認知症” 【欧米編】」というトークイベントが行われました。このイベントは、世界8カ国でのクラウドファンディングの開始を記念するもので、特に認知症に取り組む専門家たちが一堂に会し、それぞれの国における活動や課題について語りました。
イベントの背景
主催は、特定非営利活動法人issue+designで、彼らは『認知症世界の歩き方』という映画の制作を支援するために、欧米を中心とするクラウドファンディングを展開しています。この映画は、認知症と共に過ごしながら幸せに生きるヒントを提供することを目的としており、認知症に対する新たな視点を得るための貴重な機会となるでしょう。
ゲストの紹介
第一回目は、アメリカの山下貴司さん、フランスの富樫一紀さん、ドイツのシュペネマン望さんの3名がスピーカーとして参加しました。彼らはそれぞれの国でどのように認知症と向き合っているのか、またどのような取り組みが行われているのかを明らかにしました。
アメリカの現状と課題
山下さんは、アメリカの認知症に関する取り組みについて、特に非営利団体が行う啓発活動や、VRを用いた教育に焦点を当てました。連邦政府のアルツハイマー研究への多額の投資がある一方で、社会的視点が不足しているという現状を指摘。地域全体でサポートする必要性が強調されました。
フランスの取り組み
富樫さんは、フランスにおける認知症に対する偏見を打破するために、日本語の「認知症」という言葉を普及させる活動を行っています。NPO「GANBALO」を立ち上げた背景には、日本文化をフランスに広める活動があり、今後は多言語を用いた映像制作を行う予定です。
ドイツにおける介護支援
シュペネマンさんは、ドイツ全土で活動する日本人向けのボランティア団体の観点から、実情を紹介。言語の壁や認知症に対する偏見など、在独日本人の高齢者が直面する課題を挙げ、地域の連携を強化する取り組みの重要性を説きました。
各国のクロストーク
イベントの最後には、各国のスピーカーがクロストークを行い、認知症に対する社会の向き合い方を議論しました。アメリカでは、メディアによる認知症報道の不足が問題視され、フランスでも言葉への抵抗感が強いという指摘がありました。ドイツでは、個人主義が強い文化が支援を求めることのハードルになっていることが示唆されました。
今後の展望
このイベントは、今後も続いていく予定で、次回はイギリス編が開催されます。また、「脱偏見 vol.3」と題したイベントも予定されており、認知症に対する理解を深める機会が提供されます。今後も、クラウドファンディングを通じて、映画制作が進んでいくことを期待しています。
イベントの様子はYouTubeにアーカイブされており、視聴可能です。今後の進展にぜひご注目ください。