高血圧治療に関する意識調査結果と今後の課題
2025年5月17日は世界高血圧デー。この日に合わせて、日本国内で高血圧の治療に関する意識調査が行われました。株式会社CureAppの実施したこの調査は、高血圧を指摘されたことがある30~70代の男女を対象にしています。調査結果からは、高血圧を指摘されたにもかかわらず、1割以上の人が通院していない現状が浮き彫りになりました。
調査概要
CureAppが行った調査は、インターネットを通じて実施され、1,007名の男女が対象となりました。調査に参加した人々の中には、高血圧の自覚があるが受診経験がないという人が多く、全体の41.4%が「通院していない」と回答しました。
この結果は、現在の医療における高血圧治療の課題を示しています。日本では「サイレントキラー」とも称される高血圧が、未受診のまま放置されているケースが多いため、早期受診や治療が必要です。
自覚症状の乏しさが通院を阻む
調査結果では、高血圧を指摘された方のうち、通院していない理由の中で「自覚症状がない」という答えが31.0%を占めました。このことは、高血圧があるにも関わらず、緊急性を感じない人が多いことを示しています。また、他の理由として「面倒だった」「忙しくて時間がない」といった心理的ハードルも見受けられました。
服薬に対する懸念も影響
一度通院した経験がある人の中で、通院を中断した理由として「薬の副作用や体の影響が不安」という意見が23.1%を占め、さらに「やめられないと思っている」という懸念が20.8%を占めました。これらのデータは、医師による診断後の通院がスムーズに行われない理由を明らかにしています。
血圧測定の重要性と実態
また、調査では「毎日血圧を測定している」と回答した人は31.1%であり、多くの人が日常的に血圧測定を行っていないことも分かりました。約7割の人が血圧を定期的に確認していないという事実は、高血圧が潜在的なリスクであることを無視していることを示しています。
薬以外の治療法への期待
興味深いことに、78.4%の人が薬を使わない高血圧改善法に興味を示しました。これは、高血圧治療において薬に依存しない方法が求められている証拠です。特に、生活習慣の見直しやデジタル技術を活用した新しい治療法への期待が高まっています。
医療の意識改革が必要
特定非営利活動法人日本高血圧学会の理事長、苅尾七臣先生は、調査結果を受けたコメントの中で、「自覚症状のなさが、治療につながっていない現状である」と語っています。彼は高血圧について医療機関が提供する新しい治療プログラムやアプリを活用することで、生活習慣を改善し、病気リスクを減少させることが可能だと強調しました。
このように、これからの高血圧治療には、患者自身が積極的に健康管理に取り組む姿勢が求められています。高血圧が生活習慣病であることを理解し、早期の受診と適切なフォローアップが重要です。これを受けて、CureAppは「血圧チャレンジプログラム」を展開し、患者が生活習慣の改善に取り組むための支援を行っています。医療とテクノロジーが交差する新たなアプローチが、高血圧治療において重要な役割を果たすことが期待されます。