自築消費の登場
2025-01-16 10:31:21

消費行動の新たな潮流『自築消費』が中国で注目される

消費行動の新しい潮流『自築消費』



最近、中国の上海市で 博報堂生活綜研・上海が行った研究発表「生活者“動”察 2024」で、消費者の行動に新たな傾向が見えてきました。この研究は中国伝媒大学広告学院との共同で進められており、12回目となるイベントです。今年の発表テーマは「コスパ重視、ダウングレードだけではない、中国生活者の消費行動の新兆候」と定められ、2024年の中国社会における消費傾向を探りました。

2024年のキーワードに「消費降級」が挙げられる中で、中国の消費者は広範な分野でコストパフォーマンスを意識した消費行動を示しています。多くのディスカウントストアが増加し、企業間の競争が激化しているなかで、安価で適度に質の高い商品が求められています。高品質でありながら合理的な価格の商品を選ぶ生活者が多くなり、その結果、消費者は低価格商品を楽しむ傾向も強まりました。

しかし、興味深い点は、QRコード決済アプリにおける利用データの分析結果です。支出金額が増加した人と減少した人の数がほぼ同数であり、消費を増やしている人が減少している人を上回るカテゴリーも存在しました。このデータは、単なる節約志向にとどまらない新たな消費傾向を浮かび上がらせています。

研究によって、私たちが注目したのは「自分の実力や自分らしさを再確認するための消費」や、「節約しつつも自分の欲しいものを買うために複数の理由を持ち込む消費」といった行動です。さらには、「他者のための贈り物を通じて、自らの存在意義を見出そうとする買い物」といった、新しい消費のスタイルが浮かび上がりました。これらの行動を、私たちは『自築消費(Zizhu消費)』と名づけました。

自築消費とは何か?


「自築消費」という言葉は、消費を通じて自分自身を再確認、再構築することでを通じて自己肯定感を高める行動を指します。消費ダウングレードの風潮が広がる中でも、生活者たちは自己の意識や実力を踏まえた選択を行い、時には少し背伸びをした買い物を楽しみたいと考えています。 このように、日々の消費を通じて自分らしさを築いていくことが求められ、気を使った買い物選びが新たなトレンドとなっているのです。

例えば、コロナ禍を経て人とのつながりへの意識が高まり、ギフトを贈ったり、他者を支えるための消費を行ったりする場合もあります。また、失敗を避けるために信頼できる情報源や、推奨された商品を選ぶ傾向も見られます。こういった行動は、不安定な経済環境の中でも自信を保とうとする生活者の心理を反映しています。

今後のマーケティング活動への影響


『自築消費』と呼ばれる新たな消費行動は、単なるコスト削減や節約を超え、生活者たちの間で自己肯定感を育む重要な役割を果たします。今後、企業はこのような新たな行動を意識したマーケティング戦略を展開することが求められるでしょう。

博報堂生活綜研・上海は、こうした新しい消費行動が今後の中国のマーケティングに大きな影響を与えると考えています。この研究は、生活者のニーズの変化を把握した上で、企業がどのように戦略を練るべきかを示唆しており、消費の本質を理解するうえでの貴重なトピックとなりました。消費意識が多様化し続ける中で、今後も注目を集める「自築消費」によって、企業は新しいチャンスを見出すことができるかもしれません。


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会社情報

会社名
株式会社博報堂
住所
東京都港区赤坂5-3-1赤坂Bizタワー
電話番号
03-6441-8111

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