2025年度ライカ・オスカー・バルナックアワード受賞者発表
2025年度のライカ・オスカー・バルナックアワード(LOBA)の受賞者が決まりました。アレハンドロ・セガラとセルゲイ・ドゥヴェの二人が、それぞれ一般部門と新人部門の栄冠を手にしました。授賞式は、ライカ本社で行われ、アートと歴史の交差点である「ライカI」誕生100周年の記念イベントの一環として開催されました。
受賞者と作品紹介
アレハンドロ・セガラ
ベネズエラ出身の写真家アレハンドロ・セガラは、「The Two Walls」と題する作品で一般部門を受賞しました。このシリーズは、アメリカとメキシコの国境を巡る長期プロジェクトをもとに作られ、移民や難民の声なき声を写真を通じて浮かび上がらせています。セガラは、この作品で移民が直面する過酷な現実に焦点を当てており、かつては避難所とされていたメキシコの変わりつつある状況に警鐘を鳴らしています。
彼のモノクロ写真には、目を引く強いメッセージが込められ、個々の物語がかすかに見える構図として現れています。セガラは、これらの作品を撮影するために、彼自身の足で国境地帯を行き来し、取材を続けました。38,000枚以上の写真からセレクトした20点の中から受賞作が選ばれました。
セルゲイ・ドゥヴェ
ドイツ在住のモルドバ出身の写真家、セルゲイ・ドゥヴェは、「Bright Memory」と呼ばれる作品で新人部門を受賞しました。この作品は彼の家族と故郷トランスニストリアとの深い結びつきを表現しており、郷愁と日常生活の交錯を美しい写真で映し出しています。トランスニストリアとは1990年にモルドバからの独立を宣言したが国際的には未だ承認されていない地域です。
ドゥヴェはこの作品を通じて、個人的な経験から広がるテーマを描こうとしており、「明るい記憶」という表現を通じて、彼の故郷の口語文化を反映させています。この作品もまた、教育機関との連携により選出され、その深いメッセージが評価されました。
審査員のコメント
今回の審査員は、各々の作品に対して深い理解を持ち、社会的な力を感じ取ったと話しています。アレハンドロ・セガラは新人部門から本賞への昇格を果たした初の受賞者として、特に評価が高く、彼の作品は分断や移民、人間の尊厳といったテーマを力強く描いています。
展示と今後の展望
今年の受賞作品は、エルンスト・ライツ・ミュージアムにて展示されます。この展覧会はWhiteWall社の協力のもと開催され、充実したカタログも出版される予定です。また、LOBA 2025の受賞者とファイナリストの作品は、世界各地のライカギャラリーや写真フェスティバルでの展示も計画されています。
ライカ・オスカー・バルナックアワードは、国際的に権威のある写真賞であり、その受賞は国内外で認知される大きなステップとなります。写真を通じて人々にメッセージを伝える二人の写真家の今後の活躍も期待されます。
詳細情報は公式サイト(www.leica-oskar-barnack-award.com)でご確認ください。