蝉谷めぐ実の新作が注目の山田風太郎賞候補に
新潮社から出版される蝉谷めぐ実の最新作『万両役者の扇』が、第15回山田風太郎賞の候補作として選ばれました。江戸時代の芝居を背景に、役者とその熱狂的なファンたちの狂気を活写するこの時代小説は、読者を引き込む魅力にあふれています。最初に皮切りとなるイベントは、10月21日(月)に予定されています。この作品が選ばれたことからも、彼女の独自の視点と深い物語性が評価されたことが伺えます。
江戸芝居を描いた独自のストーリー
『万両役者の扇』は、江戸森田座の役者今村扇五郎を中心に作品が展開されます。芸の追求に情熱を燃やす扇五郎に魅せられた人々が織り成すドラマは、彼らの人生が狂っていくさまを鮮明に描き出します。作品の中では、ある日若手役者の他殺体が発見され、扇五郎自身も危機にさらされる事態が展開。役者たちの狂気と業は、「芸のため」であればどこまで許されるのかという問いを読者に投げかけます。
著者の思いと作品の魅力
蝉谷めぐ実氏は、作品発表に際して「役者の業が大好きで、しかし同時に『役者の業』で始末をつけがちな自分に、今回は刃を向けてみました。ねろねろと濃い江戸歌舞伎を味わっていただけましたら幸いです!」と語っており、その思いが作中に色濃く表れています。本作は、濃密な芝居の虚実を探求し、読者をどろどろの底なしの芝居沼に誘う魅力に満ちています。
著者について
蝉谷めぐ実氏は1992年に大阪府で生まれ、早稲田大学では演劇映像を専攻しました。彼女は2020年に『化け者心中』でデビューし、その後さまざまな賞を受賞しました。彼女の作品は、江戸時代の文化や芸能を掘り下げたものが多く、歴史的背景を豊かに描き出しています。過去には『おんなの女房』が各賞で高く評価されるなど、現在、日本の時代小説作家として注目を集めています。
書籍情報
『万両役者の扇』の編集と企画は新潮社が担当。2024年5月16日に発売予定で、四六判・ハードカバーで提供され、定価は1,980円(税込)となっています。今後の選考結果が待たれる中、あらすじに触れた時点での期待が高まります。
この作品を通じて、江戸歌舞伎の世界を深く味わい、役者たちの織りなすドラマに見入ってみてはいかがでしょうか。