豊島九段、糸谷八段を下し将棋日本シリーズ一回戦突破!相雁木戦を制す
7月13日、香川県高松市のサンメッセ香川大展示場にて「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」一回戦第二局が開催されました。
この対局は、先手の糸谷哲郎八段と後手の豊島将之九段の対戦。予想された相雁木の戦型となりました。
序盤は糸谷八段が持ち味の経験値を生かし、優勢に試合を進めます。しかし、豊島九段は△4四角と指し、糸谷八段の飛車を攻める作戦に出ます。この一手が功を奏し、形勢は逆転。
その後も豊島九段は攻めを続け、118手目△4五桂打で糸谷玉を詰みに追い込み、見事勝利を収めました。
豊島九段は試合後、「相雁木になることは予想していました。去年の『JTプロ公式戦』でもやられていますし。こちらは封じ手のあたり(△1二香~△1一飛)は素直に指しすぎたかもしれません。糸谷八段には盤面全体を見通す力があります。▲1三角成とされた局面では少し苦しくしたかなと思っていました。粘り強く指そうと△4四角から先手の飛車をいじめる展開にしたのが功を奏したでしょうか。△1八歩成や△8七歩成で、こちらの手が分かりやすくなって好転を感じました。まずは初戦を突破してホッとしています。次は渡辺九段と強敵ですが、また鍛え直して頑張りたいと思います。」とコメントしました。
一方、敗れた糸谷八段は「95手目▲8三香成に代えて、▲4六歩△1八歩▲同飛△8七歩成▲4五歩△6六角▲6七歩でしたか」と感想を述べました。
村山慈明八段は「相雁木の展開は想定されたとおりでしたが、そこからどうするかというのが現在の相雁木の課題なんです。糸谷八段は後手の端攻めに対し、▲2四桂からの切り返しで馬を作って優勢に進めます。ここまでは糸谷八段の経験値が勝っていた感じがします。豊島九段の90手目△4四角がさすがの構想でした。▲1九飛と回って受けさせて、その飛車を小駒で攻める狙いです。後手の指し手がわかりやすくなって急に好調な流れになりました。とにかく難しい中盤の続く熱戦だったと思います。118手目△4五桂打以下の攻めが厳しく、勝負あったという感じです。」と講評しました。
豊島九段は一回戦突破を果たし、次戦は渡辺明九段との対戦となります。強敵との対戦に、豊島九段はどのような戦いをみせるのか、今後の展開に注目です。