日本企業のSASE導入状況
2021-04-05 13:00:03
日本企業のSASE導入進捗:海外との比較から見える課題とは
日本企業のSASE導入進捗:海外との比較から見える課題とは
近年、リモートワークの普及に併せて、企業が直面するセキュリティや通信の課題は深刻化しています。このような状況の中で、クラウド時代における新たなネットワークセキュリティモデル「SASE」(Secure Access Service Edge)が注目を集めています。しかし、日本企業のSASEにおける導入状況は他の国々に比べて遅れを見せていることが明らかになりました。
1. SASEとは何か?
SASEは、クラウド環境におけるネットワークセキュリティを構築する新しいフレームワークを指します。このモデルは、さまざまなデバイスやネットワーク、アプリケーションが複雑に絡み合う現代のビジネス環境において、より便利で安全なインフラを提供するために設計されています。アメリカのカンパニー、NetMotion Software, Inc.は、SASEのプロバイダーとして、750名のITプロフェッショナルを対象に実施した調査結果を発表しました。
2. 認知度と導入状況
この調査によると、日本のITプロフェッショナルのSASE認知度は53%と、海外4か国の平均67%に対して低いことがわかりました。また、日本企業がSASEに着手している割合は60%であり、こちらも海外4か国の平均74%を下回っています。特に懸念されるのは、SASEを完全に導入しているトップ企業の割合が12%であり、これも海外と同水準です。
3. クラウドセキュリティ対策の現状
また、クラウドセキュリティの面でも日本企業は課題を抱えています。トップ企業の割合は海外と同等であるものの、全体としての導入率が低く、特にVPNやCloud Secure Web Gateway、Firewall as a serviceなどの伝統的なセキュリティ対策に依存していることが見えてきました。
日本企業は新しいネットワークセキュリティ技術の導入が遅れており、特にSoftware Defined-WANやZero Trust Network Accessなどの先進技術の普及が必要です。これらの新技術は、企業にとって必要不可欠な競争力を持つ要素となるでしょう。
4. リーダーシップと変革の必要性
高松篤史氏、NetMotion Softwareのカントリーマネージャーは、従来のインフラに依存することのリスクを指摘しています。特に、テレワークが主流となった今、データセンターに集中する「ハブアンドスポーク」モデルはもはや通用しないとのことです。それにもかかわらず、多くのITプロフェッショナルはレガシーシステムを管理することに四苦八苦しています。
SASEへの移行が急務である一方、その導入は短期間で終わるものではなく、4-5年の長期的な戦略として取り組む必要があります。特に、日本市場ではパートナーとの協業を重視し、共同でリーダシップを取ることが求められています。
5. 未来への道筋
SASEは、クラウドサービスにおける革新を反映したものであり、レガシーテクノロジーから脱却して新しいネットワークのあり方を提供します。日本企業がこの新しい潮流に乗るためには、ITプロフェッショナルの能力向上や、先進的なセキュリティ技術の積極的な導入が不可欠です。
全体的に日本企業のSASE導入はまだ発展途上ですが、グローバルな競争力を保つためには、この歩みを加速させ、体制を整えることが急務です。2021年度は、日本国内でもSASEの重要性が一層強まることが期待されます。
会社情報
- 会社名
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NetMotion Software, Inc.
- 住所
- 東京都千代田区九段南1丁目5−6りそな九段ビル5F
- 電話番号
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