三生医薬、革新的な大豆タンパク製剤技術を発表
静岡県富士市に本社を構える三生医薬株式会社が、日本農芸化学会2025年度大会で、「大豆タンパクを皮膜とするソフトカプセルの製法と溶出特性」という研究成果を発表しました。この新たな製剤技術は、植物由来の大豆タンパクをカプセルの皮膜として用いるもので、従来の腸溶性コーティングに代わる選択肢として注目されています。
技術開発の背景と目的
今日の社会では、高齢化に伴い、がんや糖尿病などの非感染症疾患(NCDs)の予防が重要な課題となっています。それに伴い、腸内環境の改善は健康寿命の延長において必要不可欠な要素として認識されています。近年、プロバイオティクスやプレバイオティクスを利用した多くの機能性食品が開発されていますが、これらの有効成分を大腸に確実に届けるための技術が求められています。
三生医薬の研究開発チーム、柳原葵・園川あいり・平澤亙の3名は、大豆タンパクに着目し、この素材をソフトカプセルの皮膜素材として応用する新技術を開発しました。研究成果としては、大豆タンパクの優れた消化耐性を利用し、従来の腸溶性コーティングの代替技術としての可能性が示されました。
研究の成果
- - 新製造法の開発: 水を使用せずに大豆タンパクをシート状に加工し、カプセル化する方法を確立しました。
- - 性能向上: 従来の皮膜と同じ強度を保ちつつ、酸素バリア性や消化耐性が向上しました。
- - 特性の確認: 胃や小腸では溶出を抑制し、大腸で有効成分を放出する特性が確認されました。
一方で、消化酵素による皮膜接着面からの滲入という課題もあり、さらなる改良が求められています。
学会での高い関心
発表後、参加者からは熱心な反響が寄せられました。「腸溶性コーティングの代わりとして、この技術を使いたい」といった意見や、「大豆タンパクから水なしでフイルムやカプセルを作る技術には驚いた」とのコメントがありました。また、「豆腐製造における産業廃棄物の削減におからを活用できるかもしれない」といった新たな応用の可能性も提案されるなど、多方面から高い関心を引きました。
今後の進展
三生医薬では、今後以下の3つの取り組みを通じて、技術開発と実用化を進める計画です。
1.
機能性の検証: 大豆タンパクカプセル皮膜のNCDs予防効果、特にインスリン抵抗性の改善について検証。
2.
プロバイオティクスの大腸送達性の確認: 有用な腸内細菌を封入し、大腸に届けることが可能かを検証。
3.
商用生産への移行: 商用生産を視野に入れ、新型皮膜製造機とカプセル充填機の導入を計画。
研究開発本部長のメッセージ
研究開発本部長の又平芳春氏は、「この技術は腸内環境の改善を通じて健康寿命の延伸に寄与できる可能性を持っいます。また、未利用資源の活用という社会問題の解決にもつながります」と述べています。企業や研究機関との連携を図り、さらなる発展を目指していく方針です。
お問い合わせ
この技術に興味のある方は、三生医薬株式会社の広報担当・藤作までご連絡ください。私たちは、世界中の人々の健康に貢献するため、最先端の製剤技術の開発に挑戦し続けます。
【本社所在地】静岡県富士市厚原1468 【設立】1993年 【資本金】1億2,338万9千円 【売上金】250億080万円(2024年度予定) 【従業員数】700名(2025年1月現在) 【事業内容】健康食品、医薬品、一般食品、雑貨等の企画・開発・受託製造。
公式サイト:
三生医薬株式会社