KINJOの個展『It is there, but it is not there.』に込められた深いメッセージ

KINJOの個展『It is there, but it is not there.』

東京を拠点に活動するアーティストKINJOが、沖縄のルーツを背景にした個展を開催します。本展は、日常の中に潜むアメリカ文化を象徴するロゴやパッケージをテーマにした絵画や立体作品を展示し、見る人に新たな視点を提供します。

KINJOの作品は、まるで生活の一部としての記録を辿るように、“描いては消す”を繰り返す手法が特徴です。これにより、日常で目にする風景や記号が内面的な揺さぶりを受け、彼自身のポートレートを描き直すような過程が生まれています。このような独自の視点から描かれた作品群は、見る者にとっても何かを感じさせる瞬間を与えることでしょう。

特に目を引くのは、代表的なシリーズ「暗闇の中で光る目玉」です。このシリーズは、KINJOが幼少期から抱いていた他人の視線への恐怖感が根底にあります。作品は、視覚的には単なるモチーフでありながら、現代社会における「見る側」と「見られる側」という二項対立を可視化する要素を持ち合わせています。多層的な素材を使ったコラージュや、動物をモチーフにした作品群は、故郷や家族とのつながりを感じさせます。

本展では、個人的な記憶から始まるこれらの作品を通じて、KINJOは社会の多様性と力学について考察を試みています。彼が持つ独自の視点は、見る人にとっても新たな発見を促すきっかけとなることでしょう。