環境に優しい新型LNG船誕生
株式会社商船三井は、4基のウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)を搭載した新しいメンブレン型LNG船の基本設計承認(AiP)を、認証機関のロイド船級協会(LR)から取得しました。この新型船は、韓国のHD現代重工業株式会社(HHI)およびサムスン重工業株式会社(SHI)と共同で開発され、各国の旗国からも認められています。
この新型LNG船は、貨物槽の容積が17.4万立方メートルと大きく、エネルギー効率を高めるためにウインドチャレンジャーを4基搭載しています。ウインドチャレンジャーは、帆を自動制御して安全に航海しつつ、燃料消費と温室効果ガス(GHG)の排出を低減することを目指す技術です。
商船三井は、昨年にウインドチャレンジャーを2基搭載する在来型LNG船のAiPも取得していますが、新型船においては、船橋を前方に配置することでウインドチャレンジャーの数とその配置を最適化し、燃費削減効果を最大化しています。試算によると、航海毎の燃費が最大で約30%改善され、年間平均で15~20%の削減が期待されています。
環境ビジョンと今後の展望
商船三井は「商船三井グループ環境ビジョン2.2」を掲げており、2050年までにネットゼロ・エミッションの達成を目指しています。その一環として、ウインドチャレンジャーを搭載するLNG船の建造を促進しています。2030年までに25隻、2035年までには80隻への搭載を計画中で、すでに2隻が竣工し、さらに9隻への搭載も決定しています。
新型船の開発は、ネットゼロエミッションの実現に向けた鍵となるプロジェクトであり、商船三井はWWFとの連携やリスクアセスメントを通じて、より安全で効率的な運航を追求しています。
「Gastech Exhibition & Conference 2025」への出展
商船三井は、9月9日から12日までイタリアのミラノで開催される「Gastech Exhibition & Conference 2025」に出展し、新型LNG船に関する展示や基本設計承認の記念式典を行う予定です。この展示会では、業界の最新技術や商船三井の取り組みについても情報を発信し、環境負荷を低減するための技術革新を広めていきます。
新型LNG船の開発は、商船三井の環境ビジョンに基づく重要なステップであり、同社は風力推進技術を活用して持続可能な航海を実現し、社会全体の低・脱炭素社会に寄与することを目指しています。
この新型LNG船の誕生は、環境に配慮した輸送手段の一つとして、多くの注目を集めることでしょう。