キリンビバレッジ、新しい物流システム「MOVO PSI」を導入
近年、物流業界はさまざまな課題に直面していますが、特に2024年から適用される「働き方改革関連法」により、トラックドライバーの働き方が変わることで物流の効率性が懸念される「2024年問題」が現実のものとなっています。このような背景の中、キリンビバレッジ株式会社は株式会社Hacobuが提供する、輸送量を平準化するための情報プラットフォーム「MOVO PSI」を2024年11月1日より導入することを発表しました。
「MOVO PSI」とは何か?
「MOVO PSI」は、PSI(Production, Sales, and Inventory)の情報を系統的に管理し、企業間で効果的に共有・分析するプラットフォームです。飲料業界においては特に、予測困難な消費者動向や急激な需要の変化が在庫の過剰や欠品を引き起こしやすくなっています。そこで「MOVO PSI」は、AIやデータサイエンスの力を借りて、これらの問題に立ち向かうことを目指しています。
物流の現状
ドライバー不足や需要の変動が常態化する中、商品供給の不安定さが問題視されており、例えば小売業界では急な需要増加が発生することがあります。この場合、需要変動に対して卸売業者やメーカーも過剰な在庫を抱えることになり、結果として無駄な輸送が発生します。これに対処するためには、業界全体での迅速な対応が求められています。
組織的取り組み
キリンビバレッジとHacobuは、2021年から「輸送量平準化 共同プロジェクト」を実施しており、2023年10月から11月の間にVMI拠点で行った実証実験では、輸送コストを約9.1%削減する結果を得ることができました。この成果は、実際のオペレーションでの適用を踏まえ、在庫日数や欠品率の削減にも寄与しています。
さらに、アサヒ飲料もプロジェクトに参画し、効果的な輸送コストの削減を実現しました。これにより、業界全体の物流効率が向上することが期待されています。
未来への展望
キリンビバレッジは、2025年春までに全てのVMI拠点に「MOVO PSI」を導入し、持続可能な物流システムの構築を目指しています。また、今後は他業界やさまざまなステークホルダーとも協力し、データを共有・活用したオープンプラットフォーム化を進め、社会全体の価値創出に取り組む方針です。
総括
「MOVO PSI」の導入は、物流課題の解決を目指すキリンビバレッジにとって重要なステップです。顧客への供給を安定化させ、無駄を省くことで、心の豊かさをもたらす社会の実現に貢献することを目指しています。これからの取り組みがどのように発展していくのか、引き続き注目していきたいところです。