コクヨのインクルーシブデザインが目指す新たな未来
大阪に本社を構えるコクヨ株式会社は、社会における「Well-being」の向上を重視し、特に障害のある方々が生活しやすい環境を整えるために、インクルーシブデザインを企業の理念に取り入れています。この度、同社が展開するデザインプロセス「HOWS DESIGN」が、2024年の新製品上市率の目標を大きく上回る28%に達したことを発表しました。これにより、コクヨは目指していた販売戦略の一環として、多様性の尊重と包括的な社会の実現に向けた意欲をさらに強めています。
HOWS DESIGNのプロセス
コクヨは、デザインの初期段階から障害を持つ方々や様々な障壁に直面している人々の意見を取り入れることで、新たな課題や視点を発見しています。このプロセスは従来の枠を超え、実際の利用者からのフィードバックを重視することで、より実用的で使いやすい製品の開発につなげています。2023年から本格的に導入されたこのプロセスは、今までに100回以上のワークショップを通じて、参加者からの貴重な意見を集めています。これらの意見は当初の仮説とは異なることが多く、製品開発の新たなヒントを提供してくれます。
2024年の特色ある製品
1. ハサミ<サクサ>
新しく生まれ変わった「ハサミ<サクサ>」シリーズは、刃先までの軽やかな切れ味が特徴です。ハンドルの開閉で刃と刃の隙間を調整できる『傾斜インサート』構造を備えており、特に薄い素材を扱う際に抜群の効果を発揮します。このハサミは、使用者の手の技量や利き手に関わらず、快適な「切る」体験を提供します。
2. カフェチェアー<Hemming(ヘミング)>
新しい「カフェチェアー<Hemming>」は、単なる「座り心地」だけでなく、椅子を引く動作や立ち上がる動作に着目してデザインされています。手の自由が効かないユーザーでも、片手で容易に引けるハンドルデザインや、滑らかな脚先、体圧を分散するシート形状が特徴で、快適に利用できる工夫が詰まっています。
3. バンド付きIDカードホルダー
オフィス内での入退室時に欠かせないIDカードホルダーも、使いやすさを追求して進化しました。上肢に障害を持つ方の「ホルダーが掴みにくい」という課題に対応するため、さまざまな持ち方を可能にするバンドを新たに開発。大きな荷物で両手がふさがっていても、簡単にタッチできる設計になっています。
今後の展望
コクヨグループは、2024年の成功を支えに、2030年までに「インクルーシブデザインを経た新シリーズの上市率50%以上」という目標に向け、さらに力を注いでいく方針です。これにより、多様なニーズに応える製品開発を持続的に行い、全ての人が快適に暮らせる社会の実現に寄与することを目指しています。
コクヨの「HOWS DESIGN」について詳しくは
こちらをご覧ください。