ドキュメンタリー映画「REALVOICE」が伝える虐待の真実と希望

ドキュメンタリー映画「REALVOICE」がAmazon Prime Videoで配信開始

虐待体験を持つ若者たちのリアルな声を捉えたドキュメンタリー映画、「REALVOICE」が2023年7月4日よりAmazon Prime Videoでの配信を開始しました。この映画はボランティア団体・ACHAプロジェクトの代表であり、自らも児童養護施設で育った山本昌子が企画・監督を務めています。本作の特徴の一つは、全編が無料で公開されていること。2023年4月に公開されたこの映画は、すでにYoutubeや公式サイト、U-NEXTでも流通しており、全国各地での上映会も進行中です。

大人になっても続く苦しみと痛み

2023年度の児童虐待相談対応件数は225,509件に達しており、深刻な社会問題となっています。この膨大な数は、実際には必要な支援を求める家庭が見過ごされる原因ともなっています。映画には、保護されなかった虐待経験者たちの生の声が収められており、その背景にある苦悩と希望を浮き彫りにしています。

また、「REALVOICE」に出演した当事者たちは、過去の自分を救うことはできなくとも、未来に希望を見出そうとしています。配信開始以降、Youtubeや公式サイトでの再生回数は73,000回を超え、上映会のリクエストも100件以上となっています。学校でも授業の教材として活用されるなど、多くの人々に受け入れられています。しかし、それでもなお「虐待は自分とは無関係」と感じる人が多いのも事実です。

社会へのメッセージと未来への希望

「保護されたからもう大丈夫」と言われることが多い一方で、実際には傷ついた心の回復には時間がかかるものです。周囲の理解や支援があってこそ、当事者たちは過去と向き合い、前に進むことができるのです。この映画が、当事者たちの思いを多くの人々に届け、少しでも社会が変わるためのきっかけとなることを願っています。

映画では、全国各地から集まった70名の若者たちが自身の経験を語ります。虐待環境で育った彼らは、それぞれの苦しみや葛藤を抱えながらも、未来に希望を持とうとしています。作品は、ショートメッセージ、長いインタビュー、日常生活の中で直面する課題など、さまざまな形で彼らの声を記録しています。

主題歌には加藤登紀子さんの「この手に抱きしめたい」、挿入歌には一青窈さんの「耳をすます」が起用されています。お二人は映画の理念に共鳴し、楽曲を無償で提供してくれました。

映画制作の経緯と今後の展望

この映画は、クラウドファンディングによって製作費用を集め、出演者やスタッフも全員ボランティアで構成されています。公開後は多くの人に虐待問題の現状を知ってもらうことを重視し、無料公開を維持しています。

実際にこの映画に出演した若者に対し、山本昌子が深掘りインタビューを行った書籍『親が悪い、だけじゃない虐待経験者たちのREAL VOICE』も来年の8月に発売予定です。

ぜひこの機会に、映画「REALVOICE」に触れ、虐待の現実と当事者たちの声を耳にしてください。そして私たち一人一人ができることを考え、未来に希望を繋げていきましょう。