アップサイクルの新時代へ!
株式会社ペーパルは、奈良県奈良市に本社を置く老舗の紙製造企業です。1890年に創業し、135年にわたって日本の紙文化を支えてきました。この度、同社は敷島製パン(Pasco)と手を組み、「食パンをカットする際に発生するパンの粉」をアップサイクルした新しいサステナブルな紙、『パンの紙』を開発しました。この革新的な提案は、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
食パンの粉の新たな活用法
ペーパルがこの取り組みを開始したのは、敷島製パンの研究開発担当者からの相談がきっかけです。食パンがカットされる際に発生する粉は、通常、飼料や廃棄物として処理されてしまいますが、この素材を紙として再利用できる可能性を考えました。双方の意見が一致し、共同開発に進むことに決定したのです。これにより、食パン製造時に発生する未利用資源を有効活用し、循環型社会の実現へとつなげます。
技術的な挑戦と開発プロセス
パンの粉は小麦を主成分としており、紙化には特有の技術が求められます。開発の初期段階では、機械に粉が付着するなどの障害が続き、安定した生産を行うことが難しかったのです。そうした中、米を利用した接着剤の技術を活用しつつ、度重なる調整が行われました。やがて印刷適性にこだわりながら、素朴さを追求した独自の「一層抄き」技術に辿り着きました。この挑戦から約1年半の歳月を経て、理想的な『パンの紙』が完成したのです。
『パンの紙』の魅力と特性
新たに開発された『パンの紙』は、敷島製パンの主力商品「超熟」をカットする際に出る粉をアップサイクルし、2〜3%配合しています。印刷性を考慮しつつも、表面にはしっかりとミミが残る独自の風合いを持ち、触れると優しい柔らかさを実感できるのが特長です。
三社連携による名刺の誕生
『パンの紙』を活用した最初の製品として、敷島製パンの「食パン型名刺」が登場しました。この名刺の印刷や加工は、サイバーネットが手がけており、三社の技術が融合することで、ユニークで温かみのある名刺が完成しました。名刺を受け取った人々に、企業の熱意や想いを感じてもらえることを願っています。
各社の思い
敷島製パンの担当者は、「名刺を通じて弊社の取り組みに関心を持っていただければ嬉しい」と語っています。また、サイバーネットも、難易度の高い印刷技術を活かしつつ、企業の想いを形にする名刺作成に挑み続ける姿勢を示しました。
今後の展望
ペーパルは、名刺用途だけでなく、様々な未利用資源から新たな価値を創造し続けることを目指しています。持続可能な社会を実現するための取り組みは、これからも続くことが期待されます。
会社概要
株式会社ペーパルは、135年の歴史を持ち、SDGsへの取り組みや循環可能な素材の提供に力を入れています。さまざまなアップサイクルプロジェクトを通じて、持続可能な未来を築くための挑戦を続けています。