EYの新たなレポートが示す人事の未来像
EYが発表した最新の調査レポート『CHRO 2030 Market Insights』は、世界26カ国、15業界の160名以上のCHRO(最高人事責任者)に対するインタビュー結果をもとに、今後の人事部門の進化とその戦略的役割についての洞察を提供しています。
変革の必要性
本調査によると、回答した企業の85%は、今後5年間で戦略的人事機能が成功に不可欠であると認識しています。一方、実に89%の企業が、変化するビジネスニーズに対応するためには人事部門を根本的に改革する必要があると感じています。これは、現状の人事部門が従来の管理中心の機能から、戦略的パートナーとしての役割へと移行する喫緊の課題を浮き彫りにしています。
新たな価値創出への道
人事部門には、単に変化に対応するだけでなく、革新的な職場づくりを実現し、新たな価値を創出する役割が期待されています。EY Japanのピープル・コンサルティングリーダー、鵜澤慎一郎氏は、「人事部門は、経営戦略に直接関与し、最新テクノロジーを駆使して、HRBPのような課題解決型の役割へのシフトが求められる」と述べています。
生成AIの役割
生成AIの進化により、人事部門には新たなビジネス価値の創出やコスト削減、従業員体験の向上などの機会が生まれています。2030年までには、管理業務の多くが生成AIによって効率化されることが予想されています。
CHROの進化
CHROには、組織に新たな価値をもたらすために、戦略アジェンダの優先順位付けや即応性のあるテクノロジーの導入が求められています。変革を主導する立場として、ビジネス、テクノロジー、人的側面の強化が必要です。
労働力の変化
2030年には、世界全体で8500万人を超える人材不足が予想され、企業は人材戦略を根本から見直す必要があるとされています。しかし、これに応じた体制を整備している企業は少なく、ビジネス部門が求めるスキルを持つ人材も限られています。こうした人材不足の課題に対処するためには、優先すべき四つの領域に取り組む必要があります。
EYの調査結果は、人事の未来に向けた重要な指針を示しています。人事部門は単なる管理機能を超え、ビジネスの成功を支える戦略的パートナーとして進化していく必要があります。
まとめ
EYの『CHRO 2030 Market Insights』は、今後の人事部門が直面する課題や期待に応えるための貴重な情報源です。アプローチを見直し、人材とビジネスの接点を強化することが求められています。このレポートは、今後の人事の在り方を考えるうえで一考に値する内容です。