2024年の倒産動向と企業信用の重要性
リスクモンスター株式会社(以下、リスモン)は先日、独自の調査に基づく「2024年倒産動向レポート」を発表しました。このレポートは2024年に発生する法人倒産件数がかつてない増加を記録するとの速報をもとに作成されています。
トピックとしては、2024年の国内法人数は7,538件の倒産を迎え、前年から6.8%増となる見込みです。この件数は、直近9年間で最多の数字です。特に、卸売・小売、建設、製造業の3つの業種では倒産が目立ち、一方で宿泊業や飲食サービス業では前年を下回る結果となっています。
倒産件数の背景
倒産の増加は、コロナ禍における資金繰り支援策の終了が大きな要因として挙げられます。特に「ゼロゼロ融資」を利用していた中小企業は、返済が始まる2023年7月から2024年4月にかけて、資金繰りに苦しむ企業が増加することが予想されています。さらに、他の業種では依然として需要の低迷や人手不足が続いており、経営基盤が脆弱な企業にとっては倒産リスクが高まる要因となっています。
業種別倒産動向
レポートによれば、業種別では18業種中11業種で前年比増加が見られます。「卸売業・小売業」は1,483件、建設業は1,347件、製造業は1,060件と、すべて前年を上回る結果となっています。両業種の不振は、需要減少や原材料費、エネルギーコストの高騰が要因として考えられています。逆に宿泊業・飲食サービス業は512件と前年から45件減少しており、インバウンド需要の復活が寄与しているとみられます。
地域別分析
地理的にみると、全国9地域すべてで前年を上回る倒産件数が記録されており、とりわけ「中国」、「東北」、「九州」地域が目立つ増加を示しています。東京都や大阪府、福岡県では特に顕著な増加が見られ、多くの大都市において倒産が多発しています。
信用格付と倒産リスク
信用格付別に見ると、リスモンが提供する格付けデータでは、低位格付企業は倒産リスクが高く、全体の93.0%を占めています。信用不安情報を入手した企業の約3割が、情報入手から1か月以内に倒産に至ることが明らかになっています。このことは、市場において企業の信用格付けが極めて重要であることを示しています。
まとめ
2024年は倒産件数が前年度を上回ると予測されており、特に中小企業が直面する課題が多く見られる年になるでしょう。このような状況において、企業間の信用評価や情報収集がますます重要なポイントとなります。今後、与信管理や企業審査の精度向上に向けた取り組みが求められると言えるでしょう。リスモンは今後も、企業関連データを基にしたレポートを通じて、さらなる情報提供を行っていく予定です。