介護士のハラスメント実態調査
近年、介護業界において職場環境の厳しさが際立っています。この調査によれば、介護士の87%が何らかの形でハラスメントを経験しているという結果が明らかになりました。これは労働条件や職場の人間関係、さらにはメンタルヘルスに大きな影響を与えていると考えられます。
調査の背景
介護士は、利用者やその家族、同僚、上司といった多岐にわたる関係者と日常的に接する職業です。そのため精神的、身体的なストレスを受けるリスクが高まり、ハラスメントの温床ともなりやすい状況にあります。本調査は、こうしたハラスメントの実態を解明し、今後の対策に繋げることを目的として実施されました。調査対象は現在介護士として働く74名で、実施期間は2024年9月13日から19日にかけての1週間です。
調査結果の概要
調査の結果、87%の回答者が職場でハラスメントを経験したと答え、その内容は主に精神的な攻撃が多くを占めています。具体的には、53%が自身が被害に遭ったとし、34%が他者が被害を受けているのを目撃したと報告しています。
精神的攻撃が主流
調査によると、受けたハラスメントの中で最も多かったのは「精神的攻撃」であり、具体的には上司からの厳しい言葉や、不当な要求といった内容が多数寄せられました。このような精神的な圧力は、業務の意欲や心の健康に深刻な影響を及ぼし、ハラスメントが日常生活に及ぼす影響は計り知れません。
加害者はほぼ上司
調査によれば、ハラスメントの加害者として挙げられたのはほぼ上司であり、25票の回答を得ています。多くの介護士が日々の業務の中でプレッシャーを感じ、ハラスメントの被害に遭っている実態が浮き彫りになりました。
職場の対策は不十分
特に驚くべきなのは、80%以上の回答者が職場側でハラスメントに対する適切な措置が取られていない、またはその措置が不十分だと感じている点です。多くの方がハラスメントに関する報告を行ったものの、改善には至らず、それがさらなるストレスの原因となっています。
退職につながるハラスメント
さらに、8割弱の介護士がハラスメントを理由にした退職を目の当たりにしたと述べており、業界全体での厳しいワークライフバランスや職場環境が問題視されています。
結論
この調査を通じて、介護士の87%がハラスメントを経験している現状は業界の重大な問題であり、精神的攻撃や上司からのハラスメントが多いことが明らかになりました。今後、より良い職場環境を整えるためには、ハラスメント対策を徹底し、介護士一人ひとりの声に耳を傾けることが不可欠です。何よりもまず、介護士自身が心身ともに健康で働ける環境づくりが急務とされています。