Web3脆弱性管理の新たな基盤「W³VE」の発足
株式会社TECHFUND(東京都渋谷区)は、一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)と連携し、web3脆弱性管理のための新たなプラットフォーム「W³VE(β版)」の立ち上げを発表しました。この取り組みは、ブロックチェーン技術が広まる中で急増している脆弱性リスクに対応することを目的としています。
W³VEとは?
「W³VE」という名称は、英語での直訳で「web3 Vulnerabilities and Exposures」を略したものです。このプラットフォームは、web3関連の脆弱性情報を一元的に集約し、関係者が効率的にセキュリティ対策を行えるよう支援することを目指しています。ブロックチェーンの利用が進む現代において、セキュリティの確保がこれまで以上に重要になってきているため、この新基盤は様々な経済主体の協力のもとに設立されています。
現状の課題
現在、日本国内だけで1,000万を超える暗号資産の口座数があり、web3サービスへのアクセスがさらに広まっていますが、同時にセキュリティの脆弱性も増加しています。既存の脆弱性情報は、各サービスプロバイダーや開発企業、セキュリティサービス提供者、ブロックチェーンの開発組織など、さまざまな場所に散在しています。このため、脆弱性情報を一つの枠組みで管理し、迅速に対応するための体制が整っていません。
TECHFUNDの取り組み
TECHFUNDは、セキュリティ監査企業としての役割を果たす一方で、情報を集約する場所がないことに課題を感じていました。従来のweb2のCVEプログラムは、20万件以上の脆弱性情報を蓄積し、セキュリティ対応を迅速に行う助けとなっています。この成功を受けて、web3でも同様の取り組みを構築する必要があると信じていました。
特にweb3の特徴となるスマートコントラクトは、互いに参照し合い機能を利用できるため、一つの脆弱性が連鎖的に広がる可能性があります。そのため、各自のプロダクトだけでなく、相互接続のリスクにも対応する必要があります。ここで「W³VE」が重要となります。
JBAとの連携
JBAとの連携を通じて、業界全体が協力しあうことが必要です。分散型技術の特性を活かした、持続可能なセキュリティ強化を実現することが今回の取り組みの核心です。2024年9月12日には、TECHFUNDの松山が分科会長に就任し、このプロジェクトの推進役としての責任を引き受けました。
未来への展望
「W³VE」が成長することで、web3における脆弱性情報が統一され、セキュリティ専門家が迅速に特定の問題に対応できる環境が整うでしょう。業界全体のセキュリティ向上に寄与することを目指し、TECHFUNDは引き続きこのプロジェクトを推進していきます。実際の運用にあたっては、https://github.com/W3VE/W3VE で最新情報や脆弱性の投稿方法を確認できます。
会社概要
TECHFUNDは、「起業家の可能性を最大化する」というミッションの下、日本やアジア、ヨーロッパに拠点を持つテクノロジーアクセラレーターです。技術投資を通じたスタートアップ支援に加え、大手企業向けのイノベーションプログラムも提供してきました。今後も革新的なプロダクト開発を進め、さまざまな業界のデジタル化に貢献していきます。