スマートフォン利用と旅行消費に関する調査(2025)
株式会社JTB総合研究所が行った「スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査」は、今回で10回目を迎え、その内容が話題を呼んでいます。本調査は2013年から続いており、時代の変化とともに私たちの旅行行動やライフスタイルの変化を追跡する貴重なデータを提供しています。
調査の背景と目的
この調査の目的は、スマートフォンの利用実態や人々の意識を長期的に把握し、そこから得られる知見をもとに、未来の旅行行動における変化の兆しを捉えることです。昨年の結果でも、検索エンジンの利用に加えて地図アプリや動画コンテンツの重要性が増していることが明らかになりました。
調査概要
調査はインターネットを通じて実施され、対象者は首都圏、名古屋圏、大阪圏に住む18歳から69歳の男女10,000人です。その中から、昨年内に1回以上の国内旅行を経験し、プライベートでスマートフォンを利用している1,030名が本調査の本対象者となっています。
スマートフォンの利用実態
調査結果によれば、スマートフォンでよく使う機能は年々変化しており、従来主流だった「メッセージ・チャット」や「メール」が減少し、代わりに「動画や画像投稿サイト」や「テレビ・映画」などが人気を集めています。また、情報検索では生成AIの利用が増加し、自ら情報を探しに行かなくても得られる傾向が強くなっています。
SNSの利用状況
人気のSNSは変わらず「LINE」「YouTube」「Instagram」「X」となっていますが、特に「Instagram」が「X」を抜いて3位に上昇しています。特筆すべきは、29歳以下の女性の間で「BeReal.」の利用が増加している点です。
生活の変化
3年前と比較して、キャッシュレス化やネット購入の増加が顕著になっており、特に「現金以外の買い物」が高くなっています。また、コロナ禍の影響で増えたオンライン会議は残った一方で、旅行先でのテレワークやシェアオフィスの利用は減少傾向にあります。
eスポーツの影響
eスポーツに関する興味や経験も調査され、認知度はやや減少したものの、プレイや観戦の経験者は過去最高に達しています。特に29歳以下の男性による関心の高まりが目立ちます。
AIサービスと旅行
旅行商品の予約構成に対するスマートフォン利用者の割合が増加しており、今や70%に達しました。また、AIサービスの利用経験が58.7%と前年より約10ポイント上昇しており、特に「旅行先のグルメ情報検索」が高い関心を得ています。
旅先でのインターネット環境
最近では、インターネット環境の整備を望む声が高まり、特に60代の人々がそのニーズを抱えていることが分かりました。
まとめ:時代の変化を捉える
この調査を通じて分かったことは、情報収集が「検索する」から「相談する」という形に移行していることです。また、無人サービスの需要も高まっており、今後のサービス開発においては、利便性を向上させることがカギとなるでしょう。eスポーツの認知度は頭打ちの傾向もありますが、実際のプレイ・観戦者は確実に増えていることは、今後のeスポーツの普及に希望を与えています。
このように、私たちの旅行体験とライフスタイルはスマートフォンやAI、eスポーツの影響を大きく受けていることが示されています。
JTB総合研究所はこのデータをもとに、今後の旅行業界における新しい提案やサービス改善に向けた研究を続けていくとしています。今後も、変化する消費者のニーズに合わせて、より良いサービスの提供が期待されます。