イトーキと松尾研究所が新たな生産性向上の試み
株式会社イトーキは、東京都中央区に本社を構える企業であり、その代表取締役社長である湊宏司を中心に、オフィス環境の革新を目指しています。このたび、同社は株式会社松尾研究所と共同で「オフィスにおけるマルチモーダルデータ活用による生産性評価研究」を立ち上げました。この研究では、AI技術を利用して、オフィス環境における生産性の可視化と評価を目指しています。
このプロジェクトの背景には、日本の労働生産性の低さという深刻な問題があります。テクノロジーが進化し、AIによる業務自動化が進む中、依然として日本の労働市場は課題を抱えています。また、生産年齢人口の減少と共に、働き方も多様化してきており、何が生産性を高めるのかは組織によって異なります。イトーキにとって、オフィスの存在目的である生産性向上を解明することは、重要なビジネス課題です。
研究の具体的な目的
この共同研究の主な目的は、二つに集約されます。一つは、「生産性の定義と向上に寄与する行動・環境モデルの構築」であり、もう一つは「生産性の客観的な計測・検証手法の確立」です。このために、イトーキは従来のオフィス稼働データや主観的なパフォーマンスサーベイデータに加えて、オンラインでの行動履歴やウェアラブルデバイスから得られるライフログデータを活用し、多面的な分析を行うことにしました。
これまでの実績と今後の展望
イトーキ内ではすでに2回の実証実験が行われており、オフィスエリア別でのパフォーマンス差を確認しています。また、指定されたエリアでの作業時間を伸ばすことで、生産性の向上を実証する介入実験も進めています。特に、ウェアラブルデバイスを使った分析では、睡眠時間が5~7時間であることが最もパフォーマンスを高めることが分かり、オフィス内での移動が生産性向上に寄与する可能性も示唆されています。
今後は、1000人を超える規模での外部実証を実施し、センシングデバイスやWebアプリを通じてデータ収集を進め、顧客向けの評価分析サービスを目指すという計画です。
イトーキの取り組み
イトーキはこれまでも経済産業省の「健康経営オフィスレポート」に参加し、自社のオフィス投資によって80%以上のエンゲージメントスコアを達成するなど、人材の経営においても実績を上げてきました。これからも「働き方全体」にアプローチし、データドリブンなオフィスモデルの構築に努めていくことを確約します。働く人々に寄り添い、企業の経営課題を解決するために、さらなる生産性の向上を目指します。
マルチモーダルデータやAI技術の活用を通じて、新たなオフィス環境を整え、未来の働き方をデザインすることに挑戦していくイトーキの取り組みから目が離せません。