信州ウナギ調査隊が海の未来を考えた3日間
一般社団法人海と日本プロジェクトin長野が主催する海洋学習プログラム「信州ウナギ調査隊」が、7月30日から8月1日の期間で開催されました。これは、減少を続ける国産ウナギの現状を踏まえた、体験型の学習プログラムです。長野県内に住む小学5、6年生から選ばれた23名の参加者は、海とのつながりを深く学ぶことを目的とし、実施場所は長野県飯田市と静岡県浜松市でした。
ウナギと長野の関係
イベント初日、参加者たちは天竜川総合学習館かわらんべに集まり、ウナギの生態や長野県との関係について講義を受けました。ウナギ漁が盛んだった江戸時代の話に耳を傾ける子どもたち。驚くべきことに、昭和初期には短時間で大量にウナギが獲れていたことから、今の状況とは正反対の過去があることを知ります。
彼らは、「ウナギが減少している理由は水質が悪化したからだ」と考える子もいれば、「温度が上がったからだ」と意見を交換しました。実際、ダムの建設がウナギの生息域にどのように影響を与えているかを学ぶため、実地調査へ出発しました。
実地調査と発見
子どもたちは久米川で生物を観察しましたが、肝心のウナギは見つけることができず。代わりにさまざまな生き物を捕まえ、調査の中で自然の生態系の重要性を体感しました。後に講師からの説明を受け、ダムの存在がウナギの生息を妨げていることを学び、子どもたちはそのことを深く理解しました。
浜名湖での学び
次なる目的地は静岡県浜松市の浜名湖。多様な生物が生息するこの湖で、ウナギの成長過程や苦境を聞く機会が設けられました。養殖現場では、川から親ウナギをどう育てるのか、その過程について詳しい説明が行われ、児童たちは「ウナギの生態についてもっと知りたい」と興味を持ちました。
浜名湖では、シュノーケリングや磯の生物観察を通じて、普段味わえない体験をし、現地の漁業の状況を学ぶことができました。
圧巻の競りと知識の共有
プログラム最終日、浜名湖の雄踏漁港で競りを見学しました。この日のオークションでは、高額なウナギが登場し、参加した子どもたちはその価格に驚きを隠せませんでした。その後、養鰻場を訪れ、ウナギの成長や管理に関する細かな話を聞き、自ら実感する機会を持ちました。特に、ウナギのヌルヌルの理由や、どのように飼育環境が整えられているかを知ることで、環境への配慮がいかに重要であるかを理解しました。
参加者の声
終了後のアンケートでは、子どもたちから「自然を守らないとウナギが絶滅する」という真摯な意見が寄せられました。保護者たちも、「体系的に子どもたちが学ぶ機会が貴重だ」と満足の声を上げました。
総じて、信州ウナギ調査隊は、次世代にウナギの大切さや豊かな海の未来を託すための、素晴らしい学びとなりました。地域の子どもたちが持続可能な未来を考える糧として、今後の活動が注目されます。