マラソンランナーの健康を守る「ランナーズ・ドック」
最近、マラソンを楽しむ人が増える中で、心肺停止の事故が報告されています。そこで新たに登場したのが、無料のWebアプリ「ランナーズ・ドック」です。このアプリは、約5分の問診を通じて心肺機能のリスクを医師の知見に基づいて分析し、結果を即座に表示します。問診結果はクラウドに保存されるため、いつでも自分の健康状態を確認できる便利さも魅力です。
開発の背景
マラソン人口の増加と共に、健康管理を怠った結果、心肺停止の事故が発生することが多くなっています。特に大会が再開された2022年以降は、準備不足でレースに臨むランナーが多く、心肺停止のリスクが高まりました。しかし現状では、救護体制はAEDの出動に限られており、事前の健康チェックが不十分です。このような状況を受けて、手軽に健康を管理できるアプリの必要性が高まっています。「ランナーズ・ドック」は、心肺機能に直結するリスク因子がチェックできることから、ランナーの安全を守る重要なツールと言えるでしょう。
アフターコロナのマラソン事情
新型コロナウイルスの影響で、多くのマラソン大会が延期や中止に追い込まれました。しかし、2022年以降は東京マラソンを皮切りに大規模な市民マラソン大会が再開され、喜ばしい反面、レース中の心肺停止事故が増えているのも事実です。長期間にわたる大会の自粛で、ランナーが徐々に身体を慣らす過程が失われ、過度な負荷がかかることがリスク要因とされています。「ランナーズ・ドック」は、健康状態の確認に加え、トレーニング状況やウェアラブルデバイスの活用状況を問診し、大会出場のブランクがもたらすリスクも浮き彫りにします。
専門医による信頼性
「ランナーズ・ドック」は、臨床経験が豊富な内科医や循環器専門医によって設計されています。開発には、市民ランナーでもある医師たちが関わっており、彼らの経験を活かした問診と結果表示が特徴です。これにより、単なる健康チェックだけでなく、モチベーションを向上させる作りにも配慮されています。
開発に関わったドクターたち
- - 永野 正史 - 練馬桜台クリニック 院長
- - 丹沢 俊弘 - 田村クリニック 院長
- - 伊苅 裕二 - 東海大学医学部付属病院 教授
- - 上妻 謙 - 帝京大学医学部付属病院 教授
- - 伊東 重豪 - 伊東クリニック 院長
今後の展開
「ランナーズ・ドック」は現在、健康状態とランニング経験を問う問診を行い、その結果をフィードバックするシステムですが、今後はウェアラブルデバイスとの連携を進める予定です。このシステムが実現すれば、レースだけでなく日常生活の中でも自己管理を行うことが可能になり、ランナーは安心してマラソンを楽しむことができるでしょう。マラソンを愛するすべての人々の安全を守るために、「ランナーズ・ドック」はますます進化していくことが間違いありません。