介護施設のBCPと課題
2024-12-17 11:21:25

介護施設のBCP策定義務化を巡る現状と課題を探る

介護施設における事業継続計画(BCP)の現状



近年、自然災害が頻発している中、介護業界でも事業継続計画(BCP)の重要性が高まっています。NSSスマートコンサルティング株式会社が実施した最新の調査によると、介護施設の経営層や職員の多くがBCPの策定義務化についての認識が不足していることが明らかになりました。

BCP策定義務化の背景


2024年4月から、介護施設や事業所におけるBCPの策定が義務化されることが決まりました。前回の調査では、介護職員の約80%がこの義務化を認識している一方で、実際に策定を済ませた施設は約60%にとどまっています。これは、策定への不安や必要性を感じない職員が多いことが影響していると考えられます。

経営層の認知度とBCP策定状況


調査によると、介護施設の経営層や管理職の中でも、BCPを「策定済み」と回答したのは39.5%、また「現在策定中」が38.4%でした。「策定予定はない」との回答も10%を超えており、注目すべき結果です。

特に、策定を行わない理由としては「必要性を感じていない」(27.5%)や「罰則がないから」(23.5%)などが多く挙げられています。このような意識の低さが、実際のBCP策定を妨げている要因とされます。さらに、罰則に関する理解不足もあらわになり、介護報酬の減算が施行されることを知らない方が84.3%もいることが報告されました。

BCP策定済みの職場内共有の状況


BCPを策定した施設については、その目的や重要性が職場内で共有されているかを尋ねたところ、約90%が「すべてまたは一部共有できている」と回答しました。しかし、実際の研修や訓練が行われているかというと、91%が「行っている」と答えるものの、運用に関する課題も多く抱えています。

研修や訓練に関する課題


BCP策定後に職員への研修や訓練を行っていると答えた回答者が9割を超えた一方で、策定内容の見直しや改善が行われていない場合も少なくありません。定期的な見直しが行われているとの回答は約91.7%となりましたが、改善内容は「備蓄や設備の充実」(64.1%)や「職員研修の充実」(61.9%)など、限られたポイントに偏りがあることが見受けられます。

BCPのメリットと運用上の課題


策定したBCPのメリットとしては、利用者の安全確保や緊急時サービスの継続が挙げられますが、実行段階では運用に対する課題が多く指摘されています。約90%が「何らかの課題がある」と答え、その中でも「専門知識や外部リソースの不足」が最も多いという現実が示されました。職員への研修や定期的な見直しの不足も、運用のハードルを高めています。

今後の展望と必要な連携


介護施設のBCP策定が義務化されたにも関わらず、その必要性が充分に認知されていない現状は、業務の持続可能性に深刻な影響を及ぼすことが考えられます。特に、専門知識を持つ外部のリソースを活用し、地域連携を強化することが、今後の運用向上に繋がるのではないでしょうか。

調査からも明らかなように、BCPの運用は介護施設の信頼性を高める重要な要素です。これからの対策が求められています。


画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

会社情報

会社名
NSSスマートコンサルティング株式会社
住所
東京都新宿区西新宿6-8-1住友不動産新宿オークタワー21階
電話番号
03-4233-2946

トピックス(地域情報)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。