健康診断の見方を変える!
健康診断は、私たちの健康を守るための重要な手段です。しかし、その結果をどう解釈するかによって、健康管理の効果は大きく変わります。今回は、日本臨床衛生検査技師会の代表理事会長、横地常広氏の解説をもとに、健診の目的と結果の活用法について掘り下げます。
健診の目的とは何か?
健診の本来の目的は、病気の早期発見と治療です。しかし、健診を受けた後に再検査や医療機関への受診につながるケースは少なく、結果的にほとんどの人が健診を意義のあるものと捉えていません。ここで注目すべきは、検査結果が「健康管理のナビゲーター」として機能するということです。これを活用することで、個人の健康管理をより効果的に行うことができます。
血液検査の重要性
健診の中でも特に血液検査は重要な役割を果たします。血液は全身を循環し、様々な情報を提供してくれます。心臓から全身に酸素と栄養を送り、不要な老廃物を回収する血液は、異常があればその成分にも変化をもたらします。血液検査の結果は、体全体の健康状態を把握するための基礎的なものであり、一般的な項目だけでも数百の成分が測定されます。これにより、早期に異常を発見できる可能性が高まります。
検査結果の見方
検査結果を解釈する上で最も大切なのは、その結果の変動を継続的に確認することです。検査結果には「基準範囲」が設定されており、これは健康な人のデータを基に算出されています。しかし、基準範囲内だから安心とは限りません。過去の検査結果との比較や、経時的な変動に注意を払い、結果をしっかりと把握することが健康管理には不可欠です。
健康管理意識の変化
日本は高齢化社会に突入していますが、それに伴い医療費は増大しています。これを受けて、私たちは自己の健康管理に目を向け、検査データをどう活用するかを考える必要があります。健診の結果を棒グラフのように捉えるだけでなく、長期的な健康管理に生かす意識が求められています。
今後の健診について
「Wedge」8月号では、健診に関するさまざまな疑問、例えば、「なぜ何本も採血するのか?」や「なぜ食事制限が必要なのか?」について解説が行われます。これも、健診を理解し、より良い健康管理へとつなげる一助となることでしょう。
日本臨床衛生検査技師会について
一般社団法人日本臨床衛生検査技師会は、昭和27年に設立された組織で、臨床検査技師の職能を支える活動を行っています。医療の国際化にも貢献しており、検査技師の重要性を社会に広めるための取り組みを続けています。詳細は公式ウェブサイト(
https://www.jamt.or.jp/)を参照してください。
次回の健康診断では、結果をただの数字としてではなく、自分の健康管理のための重要な情報と捉えてみてはいかがでしょうか?