BlackBerryが発表した最新のQNX Hypervisor 8.0
2025年5月、カナダのウォータールーからBlackBerry LimitedのQNX事業部が、組み込みソフトウェア開発を加速する中核技術であるQNX Hypervisor 8.0の提供を開始しました。この新しいソリューションは、最新のQNXソフトウェア開発プラットフォームSDP 8.0を基盤にしており、複雑な組み込みプロジェクトの管理と構築に必要な全ての機能を網羅しています。
複数OS対応の仮想化ソリューション
QNX Hypervisor 8.0は、Android、Linux、QNXなどさまざまなオペレーティングシステムを対象にしたマイクロカーネルアーキテクチャを採用しています。これにより、同じシステムオンチップ(SoC)上で複数のOSが動作可能となります。また、仮想メモリやCPU、割り込みコントローラー、デバイスなどの包括的な仮想化機能を提供し、重要なシステムの隔離・保護を実現しています。
TechInsightsのIan Riches氏は、2030年には生産される自動車の90%が何らかの形でドメインコントローラーや高性能中央コンピューティングユニットを搭載することが予想されると述べました。そして、QNX Hypervisor 8.0のような高い信頼性とパフォーマンスを誇るハイパーバイザーが、ソフトウェア定義型自動車(SDV)の開発において重要な役割を果たすと強調しています。
ソフトウェア定義型アーキテクチャの中心
QNXの最高執行責任者であるJohn Wall氏は、新しいソリューションが次世代の車載システムやIoTシステムを開発する上での中心的な技術になると指摘します。QNX Hypervisor 8.0は、仮想マシン管理機能をマイクロカーネルに追加することで、開発の効率性や信頼性を向上させ、重要度の異なるアプリケーションの構築時間を短縮してくれます。これにより、相互に連携する複雑な組み込みアプリケーションの開発が効率的になり、自動車やIoTシステムの拡張とデプロイが容易になります。
開発者に優しいハイパーバイザー
QNX Hypervisor 8.0は、タイプ1とタイプ2ハイパーバイザーの利点を兼ね備えており、ハードウェアへの直接アクセスや高い効率性と、使い勝手の良さを兼ね備えています。これにより、開発者やインテグレーターが直面する課題を解決し、スムーズな開発環境を実現しています。また、APIリファレンスや仮想デバイスの開発者ガイドに加えて、ソースコードサンプルも提供されており、顧客企業はこれらを活用して自社独自の仮想デバイスを開発することができます。
自動車産業における重要性
QNX Hypervisorは、これまでに数千万台の自動車に採用されてきました。今後もOEM各社がハイパーバイザーを通じてSDVへの移行を進める中で、QNX Hypervisor 8.0は高度な拡張性やパフォーマンスを具現化し、次世代の自動車技術をリードしていくことが期待されます。
QNXはトヨタ、ホンダ、BMW、ボッシュ、コンチネンタルなど、世界中の主要OEMメーカーやTier1サプライヤーからも信頼を受けており、安全性とイノベーションの追求を通じて、組み込み技術の未来を切り拓いていくことでしょう。
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