テラ・ラボが無人航空機の飛行試験を成功裏に完了
株式会社テラ・ラボ(愛知県春日井市)は、自社が開発した次世代多目的プラットフォーム無人航空機「テラドルフィンVTOL」が、累計で100時間の飛行試験を無事に完遂したと発表しました。この試験は、2024年12月から海外で実施され、安定した運航性能と信頼性が確認されました。
飛行試験の意義と達成
本試験は、日本における特定飛行を実現するために必要な条件を満たすことを目的として行われました。特に、150メートル以上の長距離目視外飛行をクリアし、耐久性と信頼性の証明となる「D&R(Durability and Reliability)」を実証しました。さらに、技術成熟度レベル(TRD:Technology Readiness Levels)をレベル7にまで引き上げ、社会実装に向けた重要なステップを踏み出したことは、業界においても大きな関心を集めています。
テラドルフィンVTOLは、複合材整形技術を駆使した軽量で高強度の機体を備えつつ、滑走路不要のVTOL(垂直離着陸)性能を実現しています。これにより、都市部や被災地等の限られたスペースでの即時運用が可能になります。これまでの無人航空機が難しかった航続距離1,000kmの目標を掲げ、広域な災害調査や洋上監視等にも対応可能です。
カスタマイズ性と多用途化
多目的プラットフォーム設計(MPP)を採用することで、制御装置や通信装置、観測装置を用途に応じて自由に組み合わせ可能で、様々な任務に対応することが可能です。防災や安全保障から物流、環境調査に至るまで、多様な分野での活用が期待されています。
2021年に整備された量産化拠点「テララボ福島」にて、今後はアジャイル開発を進めつつ、品質管理のための飛行評価試験も行う予定です。この拠点は、国内外の需要に応じた量産化を進める中心的な役割を果たすでしょう。さらに、部品メーカーとの協力関係を強化し、安定供給と品質向上を実現します。
防災・安全保障への貢献
南海トラフ地震を想定した津波被害調査や沿岸監視、洋上調査にも本機を使用し、初動対応において大きな役割を果たします。また、「OSA(政府安全保障能力強化支援)」を通じて国際的防災体制の構築にも貢献することを目指しています。
さらなる展望と地域貢献
テララボは、自治体や防災機関、安全保障機関との対話を重視し、現場ニーズを常に反映させていくアジャイル開発を取り入れています。この取り組みにより、より実運用に即した無人航空機の開発を進め、福島県南相馬市に設置した拠点で新たな雇用創出を図ります。地域振興や東日本大震災からの復興のためにも寄与していく所存です。
2025年9月24日、25日に開催される「第4回ドローンサミット」では、飛行試験で使用されたテラドルフィンVTOLの同型機を展示する予定です。この展示に先立ち、国内外の自治体や防災機関、企業から数多くの問い合わせが寄せられており、無人航空機への関心の高まりを実感しています。
テララボは、2014年創業以来、大規模災害時の情報収集と共有に向け、長距離無人航空機の研究開発に注力してきました。その結果、さまざまな政府の支援制度を活用し、空間情報や災害対策の分野で特許も32件申請しています。現在も更なる技術革新に向けて挑戦を続けています。