天満屋ストアが進化を遂げるデータ主導型店舗運営
「今日は何台レジを開けておこうか?」という質問は、小売業においては日常茶飯事です。しかし、この答えを的確に導き出せる企業は少なくありません。岡山に本拠を置く天満屋ストアが、データ主導のシフト管理に踏み出した背景について探ります。
天満屋ストアのデータ活用の歴史
天満屋ストアは、地域密着型のスーパーマーケットとして知られ、長年にわたり現場での業務改善に努めてきました。業務の効率性を高めるために、早い段階からデータ活用に着手し、シフト作成や自動発注、売場の運営など多岐にわたるオペレーションでデータを利用しています。この取り組みは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を掲げるだけではなく、現場スタッフにしっかりと根付いているのが最大の特徴と言えます。
実際、同社の人時売上高は約1.9万〜2万円弱という水準を保ち続けており、同商圏における他の店舗と比べても高い生産性を実現しています。
R-Shift導入の背景
最近、天満屋ストアではレジ部門にシフト管理システム「R-Shift」を導入しました。このシステムを通じて、ただシフトを作成するだけではなく、データを基にした店舗の運営に挑戦しています。運営担当者へのインタビューを通じ、実際にどのような変化が生まれたのかを聞きました。
課題の認識
以前はシフト作成を紙やExcelで行っていたため、従業員の希望をすり合わせる作業に多くの時間を費やしていました。レジ部門では、どの時間帯にどれだけレジを開けるかという判断も必要で、これは経験者の直感に頼っていました。しかし、経験則だけでは説明に困る状況が多く、判断の再現性が必要だと感じた浅野氏は、データ運用の導入を決意しました。
データ駆動型のシフト作成
「R-Shift」の最大の利点は、POSから取得した売上データをリアルタイムで分析し、それに基づいて自動的にレジの開設台数を決定できる点です。これにより、どのスタッフをどのレジに配置するかも自動で決まります。浅野氏によれば、「熟練者の感覚とほとんど差がなく、大きく効率化できると実感しました」とのことです。
業務効率化と心理的負担の軽減
R-Shiftの導入後、シフト作成にかかる時間は大幅に短縮され、これまで行っていなかったワークスケジュールの作成も可能になりました。これにより、当日の作業分担がスムーズになりました。また、堀西氏は「レジ業務の負担軽減も実感している」と話し、スタッフ同士のやりとりが心理的に楽になったことを強調しました。
業務の負荷分散も実現され、配置を1時間ごとに変えることで、レジ業務の負担を分散可能になりました。これまでは物理的なオペレーションにこだわりがあったため、実現が難しかった点です。
業務の質と生産性
R-Shiftは高い人時売上を維持する同社にとっても重要な変化をもたらしました。堀西氏は、正直小規模店舗では人員削減の効果は薄いと認めつつも、「業務の質を大きく向上させた」という点を挙げています。単純な人員削減ではなく、業務の最適化によって生産性を確保することが可能になったと考えています。
未来の展望
つい最近、天満屋ストアはR-Shiftをレジ部門だけにとどまらず、他部門への展開も検討しています。青果や惣菜部門においてもデータに基づいた運営を進め、多能工化を推進しています。最終的には「どの作業を、いつ、どれだけ行うか」をデータに基づいて導き出し、再現性のある店舗運営を実現する目標を持っています。
結論
天満屋ストアのデータ主導の取り組みは、単なる効率化を超えた店舗運営のモデルとなり得るものです。信頼できるデータを駆使することで、もたらされるのは業務の質向上や労働環境の変化であり、今後の展望にも期待が寄せられます。