順天堂大学と広尾学園の新たな挑戦
順天堂大学医学部と広尾学園高等学校が手を組み、2023年度に高大連携協定を締結しました。この取り組みの一環として、2025年度より広尾学園の高校生を対象に、医学教育の新たな形として特別プログラム「JU★STAR(Juntendo University Scientific Training in Advanced Research)」が始まります。このプログラムは、従来の高校生の“見学者”という立場から、一歩進んで“研究者”として受け入れる新しいモデルです。
JU★STARの概要
この特別プログラムのディレクターを務めるのは医学教育研究室の小川尊資先任准教授。プログラムでは、高校生が医学研究に参加できる環境を提供し、学会発表や論文執筆に至るまでの本格的な研究支援体制が整っています。また、順天堂大学医学部の基礎研究医養成プログラムにもともと組み込むことで、持続的な成長を視野に入れています。
実施内容と選抜プロセス
2025年6月、順天堂大学で開催された説明会には、広尾学園の42名の生徒が参加しました。その後19名が応募し、最終的に4名が選ばれました。選考方式は、課題小論文と面接を基に行われ、選抜された生徒たちは順天堂大学の基礎医学講座に配属され、研究室の一員として活動を始めます。
選抜された生徒は、解剖学・生体構造科学講座に井村璃杏奈さんと武内友里さんが、生化学第二講座に山縣香奈さんと小野恵理さんが配属され、それぞれの研究室で活動を行います。彼らは、細胞の立体構造解析や老化のメカニズムの解明といった先端的な基礎研究に取り組みます。研究成果は随時、学会や論文として発表される予定です。
JU★STARの特長
JU★STARは、生徒が自主性と責任を持ち、研究に取り組むことを重視しています。見学にとどまらず、実験からデータ解析、考察、論文化まで、研究の全過程に関与します。成果次第では、学会での発表や論文執筆も視野に入れています。また、本プログラムは順天堂大学の基礎研究医養成プログラムと連携しており、進学後も引き続き研究活動が行えます。
未来の展望
JU★STARは、今後他の基礎医学講座への拡大も計画しています。これにより、より多くの高校との連携を進め、全国規模での展開を目指しています。高校生を大学研究室に迎え入れるこの取り組みは、高大連携教育の新たな形として注目され、医師や研究者の育成に貢献することが期待されています。
このような取り組みを通じて、若手研究者の裾野を広げ、日本の基礎医学研究の発展を支える力となることが期待されています。未来の医学界を担う人材の早期発掘と育成のための重要な取り組みと言えるでしょう。