大手企業の新規事業担当者が抱える孤独感とメンタルストレスの実態
UI/UXデザインを専門とするIT企業、
Engineerforce Inc.は大手企業の新規事業担当者を対象にしたメンタルヘルス調査を行いました。この調査では、500名以上の従業員を持つ企業で新規事業に2年以上従事した110名を研究対象としました。その結果、驚くべき実態が浮かび上がりました。
孤独感に悩む担当者たち
調査によると、新規事業担当者の63.7%が孤独感を感じたことがあると答えています。具体的には、20.9%が「頻繁に感じた」、42.8%が「時々感じた」と報告しました。孤独感を抱える理由としては、成果が出るまでの時間が長く評価されにくいことが55.7%、社内に相談相手がいないことが50.0%とされています。
この結果は、新規事業の特性からくるもので、実際に事業が軌道に乗るまでに多くの時間と労力が必要です。その間に感じる孤独は、担当者にとって精神的な負担となることが分かりました。
ストレスがもたらす身体的影響
さらに驚くべきことに、9割以上の担当者が心理的ストレスからくる身体症状を経験しています。具体的には、46.4%が頭痛や肩こりを、43.6%が睡眠の質の低下や不眠を体験しています。これらの症状は、新規事業のストレスが身体にも影響を及ぼしていることを示しています。
断念を考える担当者
興味深いことに、81.9%の担当者が新規事業を断念しようと思った経験があると答えています。「何度もあった」という回答が23.6%、数回あったが43.8%と報告されています。これだけ多くの人が途中で諦めたいと感じる要因には、経営層からの過度な期待やプレッシャーが36.4%、成果が出るまでの長さへの焦りが34.5%とされています。
辛い経験と励まし
調査に参加した担当者の中には、周囲から言われた辛い経験があると答えた人も多く、最も多かったのが「既存事業の成功体験を押し付けられた」というもので38.2%に上ります。こうした体験は、さらなる精神的なストレスを生む原因となっています。
それでも続けられた理由として、「顧客や市場からのポジティブな反応」が43.3%で最多でした。「この事業を世の中に出したい」という信念が35.6%と続きます。これらは、担当者が困難を乗り越えるための支えとなっていることが分かります。
仲間との成功体験
新規事業に取り組む中で、特に印象的な瞬間として、約40%の担当者がチームでの小さな成功を喜び合えた時を挙げています。こうした瞬間は、孤独感を和らげ、前向きな気持ちへと導く力を持っています。
メンタルヘルスを保つために
最後に、メンタルを保つために実際に行っている取り組みとして、「小さな成功や前進を意識的に言語化・共有する」という方法が36.4%の担当者に支持されています。また、長期的な視点を持つため、その都度、初心を思い出すことが重要とされています。
まとめ
今回の調査結果から、大手企業の新規事業担当者が抱える孤独感や精神的ストレスの実態が浮き彫りになりました。新規事業を推進する環境では、担当者のメンタルヘルスを支えるための体制を整えることが求められています。企業は、新規事業を育てるために心理的に安全な環境を提供し、成功体験を共有できる文化を築く必要があります。これらが、組織の成長や持続的なイノベーションの鍵となるでしょう。