「教えない教育」の新境地へ
2025年2月6日、株式会社Gakkenから新刊『子どもが自ら考えだす引き算の子育て』が発売されます。この本は、二人のカリスマ教育者、宮本哲也氏と井本陽久氏の教育哲学から生まれたもので、教えないことが子どもの自発的な学びにつながるという新たなアプローチを提唱しています。この取り組みは、現代の教育現場での「エビデンス信仰」に問いを投げかけるものです。
教育者たちの挑戦
宮本哲也氏は、独自の算数教室「宮本算数教室」を運営し、MBSのドキュメンタリー番組でも紹介された人物です。授業のスタイルは非常にユニークで、ほとんどの時間が無言。生徒たちは宮本氏が構築した算数パズルに取り組み、解けた生徒が手を挙げることで、一対一での答え合わせが行われます。この静かな環境の中で、生徒たちは自ら解決策を考え続けます。
もう一人の井本陽久氏は、私塾「いもいも」を主宰し、アクティブラーニングを実践する教師です。井本氏は、問いかけを通じて生徒たちの考える力を引き出し、非常に賑やかな授業を展開しています。授業は即興で進みながらも、生徒たちの試行錯誤が重視される環境作りを大切にしています。
新しい子育て論の核心
本書の中心的なテーマは、「余計なことはしない」というシンプルでありながら逆説的なアプローチです。二人は、子どもには自ら育つ力や人生を切り拓く才能が備わっていると信じており、それを見守ることが最も良い方法だとしています。この考え方は、保護者たちが抱えがちな「何をすれば良いか」という不安を解消するものです。
また、現代社会には、「この時期にこれをやらなければならない」といったハウツーが溢れており、それ自体が子育てのストレスとなっていると指摘します。新刊では、子育てにおける余計な負担を取り除く方法が紹介されており、多くの保護者にとって有意義な内容となっています。
教育ジャーナリストとしての視点
この本には教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏も参加しており、彼の視点からも教育現場の実態が描かれています。おおた氏は、親が持つ無力感についても触れ、親としての向き合い方を見つめ直す機会を提供しています。読者は、教育に対する理解を深めながらも、共感できる部分や時には耳の痛い話を通じて、楽しく読み進めることができるでしょう。
終わりに
本書『子どもが自ら考えだす引き算の子育て』は、教えないことで育まれる子どもの力を考える新しい試みの一環です。特に、子育てに悩む保護者にとって、しっかりした指針とユーモラスなエピソードが交じりながら、読み応えのある一冊になることは間違いありません。これからの教育の在り方を見つめるきっかけとして、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか?
書籍情報
- - 著者: 宮本哲也、井本陽久、おおたとしまさ
- - 定価: 1,760円(税込)
- - 発売日: 2025年2月6日
- - 発行所: 株式会社 Gakken
- - ISBN: 978-4-05-306035-8
- - 電子版: 2025年2月25日配信予定