伝統と革新が交差する漆の未来
福井県鯖江市の株式会社漆琳堂と千葉県千葉市の株式会社ZOZO NEXTが、伝統工芸と先端技術を結びつけた漆技術の共同研究を開始することが発表されました。この共同研究は、2025年2月10日から始まります。両社は、それぞれの専門性を活かし、歴史ある越前漆器のさらなる進化を目指します。
背景と目的
漆琳堂は、越前漆器の伝統的な製造技術を200年以上にわたり継承してきました。約1,500年の歴史を持つ日本の漆器文化において、彼らは日常で使用される漆器の製造に注力し、技術を磨いてきました。近年では、ライフスタイルの変化を受けて、食洗機に対応した「越前硬漆」の開発にも取り組んでいます。このような背景を踏まえ、今回の共同研究では、漆技術を現代に合わせて進化させることを目的としています。
一方、ZOZO NEXTは、ファッションとテクノロジーの融合を目指し、様々なプロジェクトを手掛けています。彼らの目指す「Artisan」プロジェクトは、日本工芸の再評価と活性化を目指したものであり、これを通じて新しいテキスタイルの開発にも寄与しています。
研究の具体的な内容
この共同研究では、漆琳堂が持つ漆技術の感性と、ZOZO NEXTの先端材料及び技術の知見を組み合わせます。具体的な取り組みとしては、漆器の美しさを追求しつつ、科学的手法を取り入れ、現代のライフスタイルに適合したプロダクトの開発が目指されています。
多様な専門性を持つ研究者と職人が共創することで、機能的かつ美しい漆器の可能性を探求します。この新しい漆技術が実現することで、将来的には漆器だけではなく、ファッションアイテムなど多分野への応用も期待されています。
期待される成果
この共同研究の成果として、現代生活への適合性を持ち、なおかつ美的要素を大切にした漆器の開発が期待されています。伝統的な製造方法を守りつつ、先端技術の助けを借りることで、漆器の新たな可能性を開くことを目指しています。
漆琳堂とZOZO NEXTの概要
株式会社漆琳堂は1793年に創業し、大本山永平寺に漆器を納めてきた歴史があります。同社は、現代のライフスタイルに合ったカラフルな漆器や、食洗機対応の製品を開発し続けています。「RIN&CO.」などのブランドを展開し、漆文化の持続と発展に尽力しています。
ZOZO NEXTは、ファッションの未来を創造することを使命とし、科学的なアプローチを用いてファッションの可能性を模索しています。「ZOZO研究所」を通じて、ファッションの数値化や技術的解決策の提供に力を入れています。
新たな漆技術の創出に向けて、二社の協力による共同研究は、日本の伝統工芸を革新する重要な一歩となるでしょう。この研究を通じて、どのような新製品が生まれるのか、今から期待が高まります。