大学生と市の連携によるデートDV啓発冊子
交際相手からの暴力、いわゆる「デートDV」に対する理解を深め、その予防に向けた取り組みが茨木市で進んでいます。近年の調査結果から、デートDVの被害者は増加傾向にあり、特に若い世代におけるこの問題が社会的な関心を集めています。そこで、茨木市と追手門学院大学が協力し、啓発冊子を制作することとなりました。
背景と目的
内閣府男女共同参画局が実施した令和5年度の調査によれば、交際経験のある男女の18%が交際相手からの暴力を経験しているとの結果が出ています。この数字は平成26年度の14.8%から上昇しており、デートDVが深刻な問題であることが確認されています。これを受けて茨木市市民文化部人権・男女共生課は、既存の啓発冊子を見直し、より若年層に伝わりやすい内容にすることを目指しました。
共同制作のプロセス
追手門学院大学の社会学部および経済学部の教員と、ゼミ生たちが制作に参加しました。教員たちは専門的な知見を提供し、学生たちの視点を取り入れて教育的内容を盛り込みました。特に、赤枝香奈子教授や林大造教授が指導したことで、冊子には実生活に即したリアルなデートDVの事例が反映されています。
中学生に寄り添った内容
冊子には、デートDVに関する基本的な情報や、相談窓口についても触れています。特に、子どもたちが身近に感じられるように、学生たちは様々なシチュエーションを考え、細かなセリフにもこだわりました。これらはプロのイラストレーターによって漫画形式で表現され、デザインも工夫を凝らして実施されました。これにより、読者がデートDVの危険性を身近に感じ、理解を深められるようにしています。
配布と今後の展望
完成した冊子は2025年3月に、市立中学校の中学2年生を対象に約3000部が配布されます。また、茨木市の人権・男女共生課の窓口での配布とともに、市のHPでも利用される予定です。これにより、より多くの若者がデートDVについて知識を持ち、被害を防ぐための一助となることが期待されています。
まとめ
今回の取り組みは、大学生と市の行政が連携し、リアルな視点と専門的な知識を融合させた画期的な事例です。若者たちの未来を守るために、これからもこのような啓発活動が広がっていくことを願っています。