ラコステ初出場のメットガラ、特別な夜の舞台
2025年5月5日、ニューヨークにあるメトロポリタン美術館において「メットガラ」が開催され、世界中の注目が集まりました。この年のテーマは“ブラック・ダンディズム”。その中で、ラコステはブランドとして初の出場を果たしました。特に注目を集めたのは、伝説的なテニス選手ヴィーナス・ウィリアムズが身にまとったオートクチュールです。デザイナーのペラジア・コロトロスが手掛けたこの衣装は、ラコステの哲学と革新性が見事に融合した一品です。
このメットガラは、1948年から続く歴史あるイベントで、毎年約450人の著名人が集まり、衣装部門のためのチャリティディナーとしても知られています。今年、ラコステがこの壮大な舞台に参戦する意義は大きく、長きにわたりウィメンズウェアのトレンドを牽引してきたブランドにとっての重要な出来事です。
ヴィーナス・ウィリアムズの輝かしい衣装
ラコステがコンセプトに掲げた“Tailored for You(あなたのために仕立てる)”を見事に体現したこの衣装は、アスリートの威厳と女性の力強さを融合させたデザインです。具体的には、アンドレ・レオン・タリーの華麗さや、歴史的存在であるジョセフィン・ベイカーのデザインを彷彿とさせるケルプグリーンが特徴的。大胆かつ優美なシルエットが目を引きます。
衣装のディテールに注目すると、刺繍スタジオアトリエ・バケ・モリニエによるポロカラーと前立てに施された独特な刺繍もあり、1,500個のクリスタルやスパンコール、さらには2,800個のトゥピーが使われています。その美しさはまさにうっとりするほどで、スカートは太陽のように広がり、流れるようなラインを描いています。手触りの良いシルクウールも使われ、30メートルにも及ぶ布地が詩的に揺らめきます。
さらに、ローブ風のコートには1万枚のマイクロメタルが使用され、1920年代の華やかさを表現。この装飾は、ラコステの伝統を表すのみならず、現代の感性との融合を見事に示します。総制作時間は1000時間を超え、使用されたビーズやスパンコールの数は圧巻です。
ヴィーナス・ウィリアムズの声
ヴィーナス・ウィリアムズは「ラコステと共に参加できたことを誇りに思っています。ペラジアとともに作り上げた特別なルックは、本当に価値ある体験でした。」とコメントし、創造性や歴史、ファッションの力を称賛しました。このイベントが彼女にとって、過去と未来を繋ぐ瞬間であったことが強調されています。
スタイリングの美
さらに、ヘアスタイリングにも注目が集まりました。スタイリストのアラクシ・リンゼイが、1920年代のショートカットや、ヴィーナス過去の写真からインスパイアされたスタイルを提案。髪を寝かせて形成したクロス模様は、レトロな雰囲気とアフリカの伝統的な美を融合させた芸術的な演出です。
ペラジア・コロトロスの装い
ラコステのクリエイティブ・ディレクター、ペラジア・コロトロスもまた、この特別な舞台において重要な役割を果たしました。彼女は、グリーンのモヘアウール混素材で仕立てたダブルブレストのブレザーと流れるようなプリーツパンツを着用し、革新的な装飾が施されたスタイルを披露。これもラコステのファッションにおける技術の証明です。
彼女もまた、「2025年のメットガラに参加できたことは素晴らしい経験でした。ラコステが信じる『衣服は歴史と職人技の器である』という考えが、まさに今年のテーマにフィットしていました。」と感想を述べました。
これからの展望
ラコステのメットガラへの参加は、ブランドにとって新たな始まりを意味します。今後もラコステがどのように進化し、ファッションシーンでの存在感を高めていくのか期待が高まります。この特別な夜が、ラコステの未来への扉を開く契機となったことは間違いありません。