北九州市がAIエージェント導入で市民サービス向上を図る
福岡県北九州市が、マイナンバーカードに関する問い合わせ応対にAIエージェントを導入する実証実験を開始しました。これにより、行政サービスの向上と職員の負担軽減が期待されています。この取り組みは、株式会社グラファーとの連携に基づいて進められており、実験対象は小倉北区役所の市民課市民係です。
実証実験の背景にある地域課題
北九州市は、少子高齢化とライフスタイルの多様化により、市民のニーズや地域が抱える問題が複雑化しています。通しで多様化する市民サービスに対し、特に電話応対においては、職員と市民双方に多くの課題が存在しています。「電話がつながらない」「受付時間外には問い合わせができない」といった声が寄せられる一方で、職員は頻繁に電話応対を求められることで業務の効率が低下しています。
このような状況に対して、グラファーは2024年6月にAI自動音声応答サービス「Graffer Call」を提供開始し、これまで多くの自治体での導入を支援してきました。その経験を元に、今度はより自然な対話を実現するAIエージェント「Graffer AI オペレーター」を開発しました。
実証実験の概要
本実証実験は2025年9月3日から9月30日までの期間、北九州市小倉北区役所市民課市民係で実施されます。対象となる電話応答件数は月間約3,400件で、そのうち約1,700件がマイナンバーカード関連の問い合わせとなっており、AIエージェントが約70%の対応を行うことを目指しています。AIが応答できない質問については、従来通り職員が対応します。また、会話のログを取り、応対品質や回答精度を検証することも目的としています。
今後の展望と市の期待
北九州市はAIを活用する「AI活用推進都市」の宣言を行い、今回の実証実験を通じて市民サービス向上の実現を目指しています。グラファーとの連携により、単なるツール提供ではなく、地域特有の情報を反映させた応答データ構築などを進めており、さらなる課題解決に取り組む意向です。市長は、AIによる新しい行政窓口の実現に期待を寄せています。
「Graffer AI オペレーター」の特長
「Graffer AI オペレーター」は、市民からの問い合わせ内容を理解し、ナレッジベースから適切に応答します。AIが解決できない場合は自動的に職員に繋ぎます。さらには会話の要約や文字起こしの機能も備えており、効率的な対応を可能にします。これにより、市民の満足度を高めることが期待されると言えます。
グラファーについて
グラファーは、行政のデジタル変革を推進するスタートアップ企業で、全国200以上の自治体でサービスを展開中です。「Graffer AI Solution」など、企業と行政のデジタル化を支援しています。今後も市民サービスの質を向上させるための取り組みを進めていくとのことです。
北九州市の市民にとって、AIによるサービスの向上は、より快適な行政窓口の実現へと繋がる大きな一歩となるでしょう。