訪日観光推進へ向けた分科会が開催
2025年9月9日、インタセクト・コミュニケーションズ株式会社が主催する「CCCJ WEEK 2025 インバウンド分科会」では、訪日観光の6000万人を目指すための課題と解決策が議論されました。モデレーターを務めたのは、同社の海外国広告推進グループ部長代理の下川雅博氏で、各分野の専門家や企業が一堂に会し、現場の知見をもとに今後の方向性を探る場となりました。
増加する訪日観光とその課題
日本政府観光局(JNTO)によると、2025年の訪日客数は現在2,495万人と、過去最高のペースで推移しています。しかし、その一方でオーバーツーリズムの影響が顕在化しつつあり、受け入れ体制の整備が急務です。このセッションの目的は、各業界の課題を共有し、実装可能な方策を多角的に検討することでした。
各業界の視点
登壇者には、鉄道業界や小売業界、宿泊業界、航空業界からの専業者が集まり、それぞれの視点から課題を洗い出しました。セッションの中で議論された内容は、講演による詳細なプレゼンテーションやパネルディスカッションを交えながら展開されました。
講演内容の概要
講演1: グレーターなんばのまちづくり
南海電鉄の寺田成氏が発表した内容では、なんばエリアの歴史的背景や地域資源を活かしたまちづくりのビジョンが示されました。食、出会い、回遊の組み合わせによる観光地としての魅力向上、そして国内外の観光客をターゲットにした多言語対応や安全性の強化の重要性について強調しました。
講演2: 多様化するインバウンドの今後の戦略
阪急阪神百貨店の白井康之氏は、訪日客を単なる「観光客」から「顧客」と捉えるべきと訴え、これによって百貨店と訪日客とのつながりを深める方法論を展開しました。特にVIP顧客を対象とした活動や、地域企業と連携した新しい消費体験の創造について具体的な戦略が紹介されました。
パネルディスカッションの要点
議論の中では、6000万人目標を実現するために交通の連携や受入れ環境のデジタル化が必要であるとの共通の認識が確認されました。寺田氏は、観光客の分散を図るために、地域間の交通網を充実させ、新しい生活環境の整備を提案しました。白井氏や高橋敦司氏もそれぞれの立場から高付加価値サービスの提供や宿泊キャパシティの適正化を呼びかけました。
未来を見越して
今回の分科会を通じて提起された課題や解決策は、訪日観光が持続可能な形で成長を続けるための重要な道筋を示しています。インタセクト・コミュニケーションズは、この議論を基に観光DXを推進し、都市と地方が協力して訪日客の受入れ体制の整備を進める意向を表明しました。地域経済を活性化させるためにも、今後の取り組みが期待されます。
参加企業の背景と役割
今回の分科会は、日本中華總商会が主催し、インタセクト・コミュニケーションズが実務支援を行う形で実施されました。参加企業は日本国内及び台湾・中国本土法人で、観光業界の再活性化と持続可能な成長に向けた動きを展開しています。
このように、訪日観光に関する意識と戦略を一新することで、6000万人時代への期待を高めることができるのではないでしょうか。