今回は木爾チレン氏の最新作『二人一組になってください』が9月19日に双葉社からリリースされることを紹介します。木爾氏は、2021年に発表した『みんな蛍を殺したかった』で多くの読者を魅了しました。本作は前作とは異なる視点で、女子高生たちの友情やスクールカースト、そして無自覚のいじめを描いたデスゲーム小説で、また新たな反響を呼ぶことが期待されています。
あらすじの背景
物語は、卒業式を控えた女子高のクラスで始まります。担任教師が突如画策した特別授業がデスゲームという形で展開され、生徒たちはそのシチュエーションに身を置くことになります。「いじめは赦されるべきではない」と言われても、自身の生き残りを考えると、生徒たちの心には疑念が生まれるのです。このクラスには、一軍、二軍、三軍という明確なスクールカーストが存在し、彼女たちの友情が試されるのは勿論、自分を守るための手段が次第に見えてきます。誰が死なずに生き残り、卒業できるのかこちらも読者の興味をそそる展開です。
登場人物たちの立場
作品中では、一軍の生徒たちは自信満々に生き残ることを考えますが、その裏には虚実の友情が渦巻いています。一方、下位の生徒たちはその場で的確な発言をすることも叶わず、クラスメートの意向に従わなければならない厳しい立場に置かれます。木爾氏は、このような生徒たちの心理状態をリアルに描写し、読者に彼女たちの内面的な葛藤を感じさせてくれます。
著者の思い
木爾チレン氏は、自らの学生時代を振り返りながら、この物語を生み出しました。「二人一組になってください」という言葉に感じた軽い恐怖こそ、物語の根源にあたると語っています。これにより、彼女の描くストーリーは、ただのデスゲームを超えて、読み手に深いメッセージを伝えるものとなっています。
クリエイターや書店のコメント
さらに、著者の夫で小説紹介クリエイターのけんご氏も本作に対してコメントを寄せており、彼は生徒たちの運命に心を撫でられるとのこと。彼女たちの心理描写が非常に深いことが強調されています。また、精文館書店の久田さんは、現代いじめの姿を赤裸々に表現している点が木爾氏の巧みな視点によるものであることを指摘しています。
書誌情報と試し読み
新作『二人一組になってください』は、定価1815円(税込)で発売される予定で、興味のある方は試し読みも可能です。試し読みのリンクは、双葉社の公式サイトにて公開されています。
読者がこの作品を通じて、どのような感情を抱くのか、どれほど共感することができるのかが楽しみです。木爾チレンのデスゲーム小説が、友情と悪意に満ちた高校生活を鮮やかに描き出すことを期待しましょう。