日本初のセメントレスコンクリート「e-CON」
東京都下水道サービス株式会社と日本ヒューム株式会社が共同で開発した新しいコンクリート技術「e-CON」が、日本においてセメントを一切使用しないプレキャスト製品用コンクリートとして、建設技術審査証明を取得しました。この技術は、日本で初めて実現されたものであり、今後、幅広い分野での応用が期待されています。
セメントレスコンクリートの特長
「e-CON」は、セメントコンクリートと同等の成形性、力学的特性、そして長さ変化特性を持ちながら、特に硫酸に対する抵抗性において優れた特性を発揮します。これにより、構造物が過酷な環境条件にさらされても高い耐久性を確保できることが特徴です。そのため、これまでのコンクリート技術に比べ、より安定した構造を提供します。
また、この新しい技術は、日本産業規格(JIS)にも適合しているため、標準化された材料を使用して作られた構造物は、公共事業を含む幅広い現場で採用されることが可能になります。
審査証明の重要性
建設技術審査証明は、民間で開発された技術が適正かつ円滑に建設事業に導入されることを目的とした制度です。この証明を受けることで、技術の信頼性が向上し、施工業者や施主にとって安心して利用できる材料となります。設立より多くの実績をもつ委員会により厳正に審査され、多様な技術の承認が行われています。
環境配慮と持続可能性
「e-CON」では、普通コンクリートに比べ約80%のCO2削減が可能であり、主成分として90%のリサイクル材を使用しています。このように、環境に優しい材料を使用することで、持続可能な社会の実現にも寄与しています。特に、耐塩害性の試験が進行中であり、今後もさらなる審査証明の範囲を拡大する計画です。
多様な適用現場の可能性
「e-CON」は、以下のような様々な分野での適用が見込まれています:
- - 港湾:桟橋や海洋構造物、消波ブロックなど
- - 下水道:ヒューム管やマンホール、プレキャスト貯留槽など
- - 上水道:水道弁室、浄水場関連など
- - 道路:中央分離帯、擁壁などの基礎構造物
- - 河川:水門や河川ブロック
組織概要
東京都下水道サービス株式会社
東京都下水道サービス株式会社は、下水道施設の維持管理やリサイクル事業を手掛ける企業であり、1984年に設立されました。東京都の政策に基づき、公共の利益に貢献する事業を推進しています。
日本ヒューム株式会社
日本ヒューム株式会社は、日本初のヒューム管製造業者であり、1925年に設立されました。「総合コンクリート主義」を掲げ、コンクリート製品の全てを提供する専門企業として知られています。
まとめ
「e-CON」は、次世代の建設技術として注目されており、環境と耐久性に優れた新たな選択肢を提供します。日本国内でのさらなる製造販売ネットワークの構築を進め、多くの現場で採用されることを期待しています。