ファミリーマートが新たに導入する「涙目シール」とは
食品ロス問題が深刻化する中、株式会社ファミリーマートはファミマecoビジョン2050を掲げ、2030年までに食品ロスを50%削減、2050年には80%削減することを目指しています。この目標に向け、2025年3月11日から新たに「涙目シール」の全国展開を発表しました。このシールは、消費期限に近い商品に値下げとともに、消費者の感情に訴えるメッセージを添付したものです。
「涙目シール」の目的とデザイン
「涙目シール」は、消費者に対して食品ロス削減の重要性を訴えるために導入されました。このシールには「たすけてください」というメッセージが含まれ、食品ロスで捨てられる食材の心情を表現しています。「涙目シール」により、消費者は商品を手に取る際にそのメッセージやキャラクターの表情を目にし、食品ロスの問題を実感することで、値下げ商品を選ぶことに対してより肯定的な気持ちを抱くことが期待されています。
ファミリーマートは、デザイン選定において消費者からのフィードバックを重視し、共感を得られるイラストを選定しました。実証実験の結果、「涙目シール」が好意的に受け入れられたことから、全国展開に向けてデザインをさらに改善しました。
全国展開のスケジュールと反響
「涙目シール」は、最初に東海地方(愛知県・岐阜県・三重県・静岡県の一部)で導入されます。金額ごとに異なる7種類のデザインが用意されており、その後、全国へと展開していく予定です。この取り組みが全国で実施されると、年間で約3000トンの食品ロス削減が見込まれています。
実証実験では、消費者から「思わず助けたくなるデザイン」「食品ロス削減に賛同した」といった前向きな意見が寄せられています。そんな中でもわかりやすさの改善が求められ、全国展開に際してさらなる配慮がなされる予定です。
お米の消費期限も延長
また、ファミリーマートは製造工程の見直しにより、おむすび、弁当、寿司など約70品目の消費期限を2時間延長することを発表しました。この延長により、消費者に提供できる機会が増え、食品ロス削減にもつながるとしています。
環境目標に基づく取り組み
ファミリーマートは、食品ロス削減のため、さまざまな施策を講じています。過去には、商品のロングライフ化や発注精度の向上、店舗での「てまえどり」などの工夫を行ってきました。2021年からは、「ファミマのエコ割」というシステムを導入し、全国の9割以上の店舗で活用されています。これにより、実績として2018年度からの食品ロス削減率は28.9%に達しました。
環境保護と持続可能な社会の実現に向けたファミリーマートの取り組みは、今後も新たな挑戦として続けていくことでしょう。顧客と共に食品ロス問題の解決に向け、さらなる努力が期待されます。