愛知県豊橋市は、パリ2024パラリンピック卓球男子シングルスで5位入賞を果たした八木克勝選手(34)を「とよはしスポーツアンバサダー」に委嘱しました。
2024年10月24日(木)、市役所を訪れた八木選手へ浅井由崇市長から委嘱状が手渡されました。パリパラリンピックでの活躍をたたえ、「スポーツ特別賞」も贈られました。
八木選手は、豊橋市出身で、地元の市立本郷中学から卓球を始めました。その後、県立豊橋商業高校、愛知大学豊橋校舎を卒業し、今年5月からは電通デジタルに所属しています。生まれつき肘から先が短い障害を持つ八木選手ですが、フットワークの軽さを武器に、東京2020パラリンピックに続き、2大会連続でパラリンピックに出場しました。
パリ2024パラリンピックでは、男子シングルスのクラス7で5位入賞という素晴らしい成績を残しました。
「とよはしスポーツアンバサダー」は、豊橋市の「スポーツのまち」づくり推進や魅力発信に協力してもらうため、豊橋ゆかりのスポーツ界で活躍している人に委嘱されます。
2021(令和3)年度には、女子バスケットボール日本代表でリオ、東京、パリとオリンピックに3大会連続出場を果たした髙田真希選手が初代アンバサダーに就任しました。髙田選手は、中学生向けの授業やコロナ禍では飲食店をバックアップする動画配信など、選手としての経験や知識、知名度を生かした活動を積極的に行っています。
2人目となる八木選手も、これまで卓球レッスンや講演会などで地元の子どもたちと交流してきました。今後、アンバサダーとして、卓球講習会などを開催していく予定です。
八木選手は、パリパラリンピックでの経験について「東京では1回戦敗退だったところから、今回はベスト8、5位で1歩進めたのはすごく良かったなと思いました。パリは(パラの)選手に対して、普通のスポーツという形で観客が応援してくださっていて、卓球は4000人ぐらい入る会場が連日満員。ものすごい楽しいところでやらしていただいて、すごくいい経験になりました」と語りました。
一方で、国内でのテレビ放送が少ない現状については、「なかなか悔しいものがありました。多くの選手たちは(パラスポーツを)見てもらうことを糧に頑張ってきた人が多かっただけに悲しかった」と心情を吐露しました。
今後の活動については、「現役を続けるかどうか全然決めてはない」とした上で、「パラスポーツを通じて、日本におけるダイバーシティー、共生社会をつくる活動をしたいなと思っています」と展望を語りました。
浅井市長は「2大会連続で出場するのは、本当にできることではない。素晴らしい活躍で豊橋の誇り。いろんなハンディキャップがあったり、ダイバーシティー、多様な世の中で、まさに八木さんは先駆者として子どもたちの目標になる存在。 明るさとユーモア、努力、あなたの生き様を、子どもだけでなく大人にも見せてくれることがスポーツアンバサダーでもある。その生き方をみんなに伝えてもらうような素晴らしい存在にさらになっていただけると確信しました。これからもいろんな形で豊橋のため、日本のため、ご自身のために頑張ってほしい。心から期待しています」と激励しました。
八木選手は、2026年に愛知県内で開催される「第5回アジアパラ競技大会」に合わせ、機運を高める活動の実施なども呼びかけ、「障害者が生きがいを持って、ちゃんと自立して生きていけるようになることが本当の共生社会。そこにスポーツを組み合わせてなにかやれたらすごく面白いと思う。なかなか市だけでやるのは難しいので、地域の民間企業とタイアップしながら、市、まち、地域で巻き込めるようなことを今後やっていけたら」と語りました。
さらに、相互理解を深め、コミュニケーションを円滑に進めるため、障害者と健常者の「橋渡し役」となることにも意欲を示し、「(豊橋発祥の)『530運動』『ええじゃないか』の次ではないですが、豊橋市が共生社会の一つのモデルとして、他県から来てもらえるような市になれたら面白い」と話していました。